2007年08月11日

ユナイテッド・パワーに業務停止命令

 以前、このブログで紹介したエントリに、『ユナイテッド・パワー株式会社』(東京都目黒区、以下UP)がある。
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/38299555.html

 「2005年に大爆発するセットトップボックス市場の6千万人を囲い込むため、それまでにネットワークビジネス(連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法、MLM)で代理人10万人を獲得する」
 などというビジョンを掲げているが、2006年11月の時点でも代理店数はわずか2万人前後しか集まっていなかったようだ。

   月間ネットワークビジネスWeb『ユナイテッド・パワー コンベンションに1700人 新サービスを続々導入へ』2006年12月4日
     http://www.network-b.com/news+article.storyid+103.htm
===引用開始(赤字は当方で着色)===
 セットトップボックスの普及をネットワークビジネスで行っているユナイテッド・パワー(中略)は11月12日、『コンベンション2006〜今、未来は動く』を都内の両国国技館で開催、代理店ら約1700人が参集した。
   (中略)
 さらに、10万人限定で募集してきた代理店がすでに2万人を超えていることを報告し「代理店獲得は総仕上げの段階に入った。これからユーザーを集めていく局面に入っていく」との認識を示した。
===ここまで===
 ……目標の2割を達成した程度で、どこが『総仕上げの段階』だよ?

 以前のエントリで、俺はこの企業を「近未来通信と同じ、投資詐欺の匂いを感じる」と評したが、半年近く経過した現在でもこの評価は変わっていない……どころか、より確信に近いものになってきている。

 さて、このUPに先日(2007年8月10日)、とうとう経済産業省から6ヶ月間の業務停止命令が出された。

   経済産業省 商務流通グループ 消費経済対策課『特定商取引法違反事業者に対する行政処分について』2007年8月10日
     http://www.meti.go.jp/press/20070810005/20070810005.html
     http://www.meti.go.jp/press/20070810005/tokusho.pdf
===引用開始===
経済産業省は、連鎖販売業者であるユナイテッド・パワー株式会社について、特定商取引法
の違反行為を認定し、同法第38条第1項の規定に基づく指示を行い、また、併せて同法第
39条第1項の規定に基づき、6か月間の連鎖販売に関する勧誘、申込み受付及び契約締結
に係る業務を停止するよう命じました。
===ここまで===

   朝日新聞『マルチ商法業者に業務停止命令 特商法違反で経産省』2007年08月10日(リンク切れのためURL削除)
===全文掲載(赤字は当方で着色)===
 経済産業省は10日、マルチ商法(連鎖販売)でインターネット機器を売っていた「ユナイテッド・パワー」(東京)が特定商取引法に違反していたとして、連鎖販売の新規契約や勧誘を6カ月間禁じる業務停止命令を出した。「絶対もうかる」などと事実と異なる説明で勧誘していたという。

 調べでは、同社は「up.net」と呼ぶ端末機を販売。50万円余りを払って「代理店」になれば端末機を仕入れてほかの人に8万円で売ることができるほか、別人を勧誘して新たな代理店にすれば、利益が得られる。

 同社の勧誘者は「ご飯を食べよう」などと消費者を誘い出し、実際には代理店の大多数が赤字なのに、「絶対に損はさせない」などと虚偽説明をした。事務所などで深夜まで勧誘したほか、クレジット契約を結ぶため申し込み書面に虚偽記載もさせたという。

 こうした手法は、同省が立ち入り検査で入手したマニュアルにも書かれ、同省は組織的に違法行為が繰り返された疑いがあるとみている。

 同社はマルチ商法業者の大手で、現在の代理店は2万人余。全国の消費生活センターに年間500件以上の苦情・相談が寄せられていた。

 同社は「処分取り消しを求める行政訴訟も考慮しており、現時点ではコメントは控える」としている。
===ここまで===

 2006年11月から2007年8月まででも、代理店の数はさして増えていないのか。
 ……目標の10万人には、いつになったら辿り着けるのやら……。

 そこはさて置き。
 『特定商取引に関する法律』(以下、特商法)では、勧誘に関して厳しく規制されている。
     http://www.meti.go.jp/policy/consumer/tokushoho/gaiyou/rensa.htm

 特商法うんぬん以前の話だけど。
 虚偽の説明や記載、深夜に及ぶ勧誘などは、「社会的な常識や良識をわきまえているなら、まず行わない行為」だ。
 それすらできない、知らない人が関わるから、マルチ商法というのは嫌われるし、特商法でガチガチに縛られるようになった訳で……。

 まぁ、UPからしてマニュアルで推奨しているようだから、企業ぐるみで社会的に「明文化されていないが、企業として、人として、持っていなくてはならないとても大事な何か」が欠落しているのだろうな。

 最後の「処分取り消しを求める行政訴訟」は、ただのポーズだろう。何らかの実行を取るとは思えない。
 ……万が一訴訟を起こすにしても、特商法違反で逮捕されるのが先になる気がする。民事だから逮捕はないのかな?

 しかしこれで、2007年9月から立ち上がる予定だった『B&P』は絵に描いた餅になったし、今月で終了するUPの代理店募集も半月残してこけた、と。

   月間ネットワークビジネスWeb『ユナイテッド・パワー 最後の大会、華やかに 新会社設立し新たなる出発へ』2007年6月29日
     http://www.network-b.com/news+article.storyid+294.htm
===引用開始(赤字は当方で着色)===
 IT機器「楽市ネット」をネットワークビジネスで販売するユナイテッド・パワー(中略)は6月10日、同社として最後となるコンベンション「UNITED POWER Convention 2007―FINAL―勝利へと続く道」を神戸国際展示場で開催、メンバー約2000人が参集した。この中で同社は、8月31日で代理店募集を終了、9月から新会社「B&P」を設立し、新たなネットワークビジネスを開始することを発表した。
===ここまで===

 この記事を読んだ時は、UPは9月で逃亡するものと予想していたのだが、現実は予想の上をいった。

   NHKニュース『うその説明で勧誘 停止命令』2007年8月10日(リンク切れのためURL削除)
===引用開始(赤字は当方で着色)===
経済産業省は、特定商取引法に違反するとして、ユナイテッド・パワーに対し、勧誘や新たな契約、それに来月計画している新会社への事業の譲渡を停止するよう命じました。
===ここまで===

 >「UNITED POWER CONVENTION 2007―FINAL―勝利へと続く道」

 ファイナルだったのは間違いないが、『勝利』にも、どこかへ『続く』事もなかったな。
posted by にわか旅人 at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪徳商法追放 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月04日

『岩盤浴』は登録商標…らしい

 『岩盤浴』というのがある。
 板状にした自然岩を下から電気で加熱、その上に寝転がって汗を流す……というのが大雑把な表現かな? つまり、お湯や蒸気を使わないサウナか。

 これ自体なら、使う人の好き好きなのでどうこう言うつもりはない。

 しかしどういう訳か、『岩盤浴』は『マイナスイオン』と『遠赤外線』『デトックス』という似非科学キーワードとセットになり『健康』商売のネタにされている傾向がある。

 ちなみに『遠赤外線』そのものを、似非科学と呼んでいるのではない。
 『遠赤外線』に付属してくっ付いてくる『健康』『マイナスイオン』『デトックス』の辺りを似非科学としているので、誤解のないよう。

 さて。
 『岩盤浴の健康効果』なるものをいかがわしいキーワードで装飾して、世間に広めようと画策している中心人物が、俺の調べたところだと『岩盤浴』の『自称・伝道師』五味常明(ごみ つねあき)医学博士だ。
 別の記事で触れたことのある御仁だ。
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/20115018.html

 こちらが五味氏の『五味クリニック』HP内にある『岩盤浴』に関するQ&A。
     http://www.ganbanyoku.silk.to/

 同HPからの、五味氏のプロフィール。
     http://www.gomiclinic.com/sub/profile.html

 医大を卒業しているし、厚労省の『医師等資格確認検索』にも引っかかるから、医師なのは確かだけど、医学博士はどこで取ったのだ?

 この五味氏が今年になり発足させた組織が、『特定非営利活動法人 日本岩盤浴協会』だ。
   日本岩盤浴協会HP
     http://www.jspso.org/

 2007年2月12日の協会発足会の五味氏の講演内容から。
     http://www.ganbanyoku.silk.to/gb0026.html
     http://www.t-ganbanyoku.com/sub/img/dr_gomi.pdf
===引用開始===
例えば「なぜ岩盤浴ではダイエットになるのか」「なぜ、岩盤浴の汗はサラサラなのか?」「いい汗をかくと、どんなメリットがあるのか」「岩盤浴は本当に自然治癒力が高めるのか」等の素朴な疑問に分かりやすく答える医科学的な説明が必要なのです。

そこに、岩盤浴の伝道師と揶揄された私の出番があったのです。

岩盤浴が汗との関係で若い女性に支持された背景には、私がさまざまなメデアで「岩盤浴でかく汗の効用」を平易な言葉で伝えてきたことも一因です。

しかし、今まで私が説明した効用は、そのほとんどが「仮説」です。その一部は実験的に実証された部分もありますが、岩盤浴の生理学作用や医学的効能についてはほとんど検証されていないというのが現状です。
===ここまで===

 上記引用部分の太字青地は、こちらで着けた。

 「ほとんどが仮説である」と言っておきながら、テレビやHPであれだけ岩盤浴の効果・効能を謳っていた訳か。

 「一部は実験的に証明された」と言っても、どこかの査読のある雑誌などに論文として提出したわけではなさそうだ。PubMedで、それらしい論文は見当たらない。
     http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez

 五味氏の言う「わかりやすい医学的な説明」の例として、上述のQ&Aから少し編集してみた。

・岩盤浴は「遠赤外線」と「マイナスイオン」の両方が放射されているので、その相乗効果によって様々な生理活性が起きている。

・大粒の水は、汗だと「ムダ汗」であり、血液だと「ドロドロ血液」である。

・マイナスイオンは「界面活性作用」があり、水のクラスターを微小にする。
・マイナスイオンは皮脂の酸化を予防し、皮脂腺の詰まりを改善する。

・遠赤外線は「共鳴振動作用」があ。これは水の粒が大きくなるのを防ぐ他、皮脂腺の分泌機能も盛んにする。
・遠赤外線のうち4〜14ミクロン(単位不明)のものは、生体に優しい「育成光線」である。

・有害金属は体脂肪と結合し、「燃えない脂肪」になる。岩盤浴はこの「燃えない脂肪」を「燃える脂肪」に変える。
・岩盤浴は、体内に蓄積された有害金属を体外に排出させると「医学的に証明されている」。

・腎臓よりも汗腺からの方が水銀の排出には効果的である。水俣病の患者の治療の時にも、発汗により水銀を排出させていた。

・発汗のトレーニングを重ねることで、汗腺は必要なミネラルは体内に戻し、有害物質は体外に排出する『選択性』を習得し得る。

・岩盤浴はNK細胞を活性化させ、免疫力を向上させる。
・岩盤浴の遠赤外線は、卵子の移動を助けるので、不妊症が改善する可能性がある。

 俺のような素人にも判るここまでいい加減な事を、よくもまあ平然とHPで「医学的な説明(一部「仮説」との断り有)」と謳えるものだ。
 ……これで医師とか医学博士とか……本当か?

 それに、薬事法第66条に抵触していないか?
     http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO145.html
===ここから===
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

2 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
===ここまで===

 「検証されていない」もので、どうやって『安心』『安全』『健全』という3フレーズを主張するつもりなのかね?
 悪い意味で巷に氾濫するこのフレーズを使ってか?

 現代医学では、医薬品に副作用があるのが判っています。副作用は患者にとり不快で、時には生死に関わる危険性もあります。副作用のない医療を、私どもは試行錯誤して探してきました。
 その結果見つけたのが、岩盤浴です。
 岩盤浴に副作用はありません。
 なぜなら、臨床試験による統計は取っていないので、副作用の有無は確認していないからです。プラシーボ効果を期待しての商品なので、副作用や危険性はないと考えています。

 安心・安全・健全に利用でき、あらゆる病状の改善に効果を期待できます。
 見て下さい、この体験談の数々を。効果がなかった、悪化したという体験談は、岩盤浴が原因だとは言えませんし、岩盤浴の評価を押し下げるものなので掲載していません。勿論、病院で従来の治療を受けて改善した人もいるでしょぅが、岩盤浴の効果を強調するためにも、加療されていた旨は削除しています。一部は架空の人物の体験談も含んでいます。あ、実在する人物の名前を借り、作り上げた体験談もあります。でも、あなた方に本当に必要なのは、科学的に検証された結果ではなく、岩盤浴への信仰です。岩盤浴の素晴らしさを知るあなた方なら、多少の捏造など重箱の隅を突くようなものでしょ?

 こういう事を平然と言ってのける医者には、一言。
 「辞めてしまえ、医者なんか」

 話を少し戻す。
 『』を太字赤にしているのには理由がある。
 『日本岩盤浴協会』という『』の付かない組織が、別にあるからだ。
   日本岩盤浴協会HP
     http://www.musiclabo.com/radium/index.htm

 『日本岩盤浴協会』は任意団体であり、NPO法人の資格を持つ組織ではない。
 しかし、HPによると『岩盤浴』の商標を取得している組織のようだ。

 そして堂々と、
===引用開始(2007年8月3日)===
特許庁が管轄する商標法は、模倣品の
保有と使用を認めていません。
日本岩盤浴協会
なる団体の名称は
日本岩磐浴協会
の類似商号です。
===ここまで===

     http://www.musiclabo.com/radium/onyoku/onyoku1.htm
===引用開始(2007年8月3日)===
日本岩磐浴協会
日本岩盤浴協会
この1字加えたソックリさんは、違法です。
===ここまで===
 と謳っている。

 『岩盤浴協会』では地磁気学・古地磁気学について詳しく説明しているのだが……いかんせん俺の地学の知識が追いついていないので、まともなのか胡散臭いのか判断がつけられない。

 それを踏まえた上で、経験則で言わせてもらうなら。
 『日本岩盤浴協会』は「胡散臭いかも」で保留。
 『日本岩盤浴協会』は似非科学推奨団体で確定。
 このようなところか。
 ……『日本岩盤浴協会』の方は、詳しく調査すれば、違う結果になるのかもしれないけどね。
posted by にわか旅人 at 21:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 似非科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月30日

某学位商法の客員教授の話

 何日か前の記事だが、Degree Mill(学位商法、以下DM)の蔓延に対し、文科省がようやく重い腰を上げたようだ。

   読売新聞『全大学教員対象、海外から授与された「ニセ学位」実態調査』2007年7月23日
   http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070723i105.htm?from=main1
===全文掲載===
 教育活動の実態がないにもかかわらず、大学として博士号などのニセの学位を授与する海外の団体が増えているとして、文部科学省は、ニセの学位を持つ大学教員の実態調査に乗り出した。

 対象は国公私立すべての大学で、同省では、秋ごろに結果をまとめ、公表したいとしている。
 同省が「ニセ学位」を授与している疑いがあるとしているのは、アメリカ、中国、イギリス、オーストラリアに所在地を設定しているが、それぞれの国から大学と認定されていない団体。国内の各大学に対して、教員がこれらの団体が授与した学位を経歴に使用していないかや、この学位を基に採用されたり、昇進したりしていないかを尋ねる。
 同省によると、アメリカでは、大学と名乗る団体で取得した学位を就職などに悪用するケースが相次いでおり、こうした団体は「ディグリーミル(学位工場)」と呼ばれている。国内でも、国会などで、ニセ学位とみられる学位を持つ大学教員の存在が指摘されていた。
===ここまで===

   日経新聞『文科省、「学位商法」の調査開始・全国の大学対象に』2007年7月23日
   http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070723STXKA040022072007.html
===全文掲載===
 研究や教育活動の実体が確認できず、実在するかどうかさえはっきりしない海外の大学で取得した“学位”が、日本国内で大学教員の採用の際などに悪用されている実態を把握するため、文部科学省は23日までに、国公私立大の人事部局を対象にした全国調査に乗り出した。今秋にも結果を公表する。
 こうした海外の大学は「ディグリーミル(DM、学位工場)」などと呼ばれ、米国では取得した博士号などの学位を就職に悪用するケースが問題化。国内でも最近になって大学案内の教員紹介などで、DMとみられる大学・研究機関の学位が十分にチェックされないまま掲載されている事例が表面化している。
 調査は(1)教員の採用、昇進の審査でDMとみられる機関の学位が重要な判断材料になった例(2)入学案内やホームページなどでこうした学位を公表している例――などについて、該当する教員数などの報告を求めている。
===ここまで===

 教員・教授らのこういう実態が明らかになっていくのは、歓迎したい。

 だけど大学側がDMを使う教授の博士号を経歴から消すだけで、後は知らんぷりを決め込む事も実際ある訳で、そういうのは困るな。
 実態が明らかなったら、DMを使っていた人物らにはそれなりの処罰を、大学側に期待したいものだ。

 話は変わる。

 とあるDMに客員教授として名前を出している人物と話をした事がある。
 その業者名を出すと、芋づる式に俺の名前まで辿られる恐れがあるので(それだけマイナーなDM)、業者名とその客員教授の名前は非公開にしておく。

 そのニセ大学の名前を業者A(『大学』とは付けない)、教授をB氏として、簡単に説明する。

 業者AのHPを見ると、トップページからして「怪しい新興宗教」色のある説明があるのだが……この辺はとりあえず脇に置いておいて。

 業者AはHPでこう述べている。
 1. 米国カリフォルニア州にて米国教育法人として設立し、キャンパスがある。
 2. 日本国内に『日本本校』が存在する。
 3. 学士・修士・博士課程があり、学位を発行している。
 4. 授業は郵便又はEメールによる通信教育である。
 5. 学士は社会活動・社会貢献なども考慮し、最短2年で取得が可能である。
 6. 学長はMLM(マルチレベルマーケティング、マルチ商法)の研究で、経済学博士を授与されている。
 7. 教養(選択)科目に恐ろしく程度の低い(←これは俺の私見)『英会話』がある。

 以下が、俺が簡単に調べて判明した事柄を並べてみた。とりあえず、上述のA社のHPでの主張に対応させてみた。

 1. 登記があるのは『教育法人』ではなく、『企業』登記だと思われる。
   キャンパスの住所は、同じ住所の同じ階に複数の企業名が検索できることから、「秘書代行サービス」が考えられる。「雑居ビルの1室」か「私書箱」の可能性も否定できない。
   と言うか、日本人向けの大学、かつ講師陣が日本在住なのに、どうして米国で法人を取り、それを自慢する必要があるのかねぇ?

 2. 日本本校の所在地は、学長が経営する企業と同じ住所(それも地方)である。
   B氏は東京在住、本業も都内で営んでいるので、それだけでもどうやれば講義を行えるのか、ぜひ説明してほしいものだ。

 3〜5. 文部科学省の認可を受けた正規の大学……どころか学校ですらない。そのようなところから出された学位に、紙切れ以上の価値はない。

 6. どこの大学の出した『経済学博士』なのかが不明。自分の経営するDMの経済学博士なら、自作自演もいいところ。

 7. 米国に教育法人があるなら、なぜTOEFLでなくてTOEICなのだ?
   科目がTOEICレベルに合わせた内容なのか、その点数を狙う内容なのかは不明だし、TOEFLとTOEICの点数の比較も経験則になるので正確ではないが……一番レベルの高い科目でも、TOEFLで400〜450のレベル。コミカレに引っかかれば「御の字」というところか。

 B氏との話を少しだけ追加する。

 俺がB氏の名前をHPで見かけた時は、無承諾で名前を使われているのか、DMとは知らずに使われているのか、そのどちらかだろうと甘く考えていた。
 そう、甘かったのだな。
 B氏本人、DMという単語は知らないようだったが、自分が「大学とは銘打っても、教育機関としての実体のない組織」の片棒を担いでいる自覚はあった。
 そのDMで、誰かが無駄金と時間を費やす可能性については、何ら考慮も憂慮もなかった。

 B氏の自己弁護としては、このような内容だ。
 自分は授業を行ったことはないし、教えられる場所も人員(教員と学生の両方)もいない。勿論、給与をもらったこともない。

 受講者がいなかったから、講義をしていなかったから、を言い訳にはできないだろう。

 来年度には文科省の承認が取れるよう、色々と活動(講演?)をしていると学長から聞いている。

 B氏は近い将来、このDMが正式な大学になると本気で信じていた節がある。
 その意味では、B氏も被害者の可能性はあるのだが、余り同情はできない。

 カリフォルニアにあるキャンパスについては、いい加減な事を聞かされていたようだ。
 日本とアメリカの大学の制度は違うのは知っていたが、まさかカリフォルニア州のキャンパスが大学として設立しているのではなく、どこかのビルの秘書代行かその類似だとは、聞かされていなかったようだ。

 できるならDMから手を切ってもらいたいのだが、少し話をしただけで諦めた。
 元々B氏と学長の付き合いは、俺との付き合いよりも長い訳で、学長と俺のどちらを信用するかと問えば、それは言わずもがな。人間関係のしがらみもあるだろうし。

 ……今回は顔見知りが関わっているからか、今一つ覇気に欠けるな。
posted by にわか旅人 at 22:50| Comment(3) | TrackBack(1) | 悪徳商法追放 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月23日

コロイドミネラル販売企業

 米国ユタ州に本拠を置く健康食品販売会社が、自社製品に『China-Free』のラベルを貼ると発表した。これは中国発の食品に対する諸々の評判に対し、自社商品の安全性と販促用のアピールに有効と判断しての事だ[1]。

 同じ米国ユタ州にある別の企業は、「万病の予防と健康に」と称し、掘り返した土砂を水に漬けた上澄み[2]を、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)で販売している。

 ポイントは、だ。
 どちらも『健康』を売りにしているのに、ベクトルの向きがまるっきり逆だという事だ。
 片や、使用する原材料の供給源の信頼性を売りにしている。
 もう片方は、常識的に考えれば口にするのをためらう原材料を、『健康』という文字で誤魔化している。
 企業の方針としてどちらを選ぶかと言えば、マルチ商法の是非を抜きにしても、あえて言うまでもないだろう。

 今回はまとめ的な意味で、コロイドミネラルを販売している業者をリストアップしてみた。
 ただし、これが全てだという訳ではない。見つけられなかった企業も多数あるだろう、と付け加えておく。

 結果から言えば、見つけた8社中、通信販売会社3社、マルチ商法(連鎖販売取引)の企業5社で、一般流通での販売している企業は皆無だった。

 コロイドミネラルの提唱者、ジョエル・D・ワラック(Joel D. Wallach)博士自身[3]、マルチ商法の企業を主催しているだけに、マルチ商法に浸透しやすい条件はあるのかもしれない。
 勿論まともな企業なら、ドロ水を飲料として販売しようとは考えもしないだろうが。

 『コロイドミネラル』=『ドロ水』と見分けの付かない人間だからこそ、マルチ商法のような破綻が見え透いた商売に手を出してしまうのかな?

 コロイドミネラルを販売している業者は、「自分のところのコロイドミネラルこそが本物」と主張し、他の業者を罵るか否定的な意見を述べている[4]が、ここでは一まとめにしておく。

●マルチ商法(連鎖販売取引)企業
エンジェビティ株式会社
 コロイドミネラルの提唱者、ジョエル・D・ワラック(Joel D. Wallach)博士の主催するマルチ商法の企業が、American Longevity社だ[5]。その系列に複数の企業が存在するが、そのうちの1社がYoungevity社で、この企業は日本での企業名だ[6]。

シナジーワールドワイド・ジャパン株式会社
 アメリカに本社のあるSynergy Worldwide社の日本オフィスだ。Synergy Worldwide社は後述するNature’s Sunshine社の100%出資の子会社で、親会社にならい、当然のようにマルチ商法を展開している[7, 8]。
 この企業では、コロイドミネラルを『シナマックス、SynaMax』という商品名で販売している。

株式会社ゼネシス
 PB(プライベート・ブランド)でコロイドミネラルをマルチ商法で展開している。植物ミネラル水と謳っているのは1種類『植物系総合ミネラル』のみ、商品説明を読む限りでは、中味はエンジュビティ社の『プラントミネラル』と思われる[9]。

 なおこの企業の代表取締役、當間健一(とうま けんいち)氏は、アロエベラジュースをマルチ商法で取り扱う『フォーエバーライフプロダクツジャパン、通称FLPジャパン』の副社長だったとの情報もある[2]。

日本ネイチャーズサンシャインプロダクツ株式会社
 これはアメリカに本社のあるNature’s Sunshine Products Inc.の日本本社だ。上述したシナジーワールド社の親会社でもある。
 日本国内ではコロイドミネラルは扱っていないようだが、アメリカでは『Colloidal Minerals』として販売している[10, 11]。

ニューウエイズジャパンインク
 日本とアメリカのサイトでは、それと確認できる記載は見当たらない[12]。
 しかし創設者トム・マウア(Tomas W. Mower)氏が、ニューウエイズの商品の一つ『マキシモルソリューションズ、Maximol Solutions』の主原料に、このコロイドミネラルを使用していると、ニューウエイズのアメリカ本社でレクチャーしている[13]。

●通信販売企業
株式会社アクアジャパン
 『デュイディヴァン マルチミネラル』という商品名で、コロイドミネラルを通販で取り扱っている[14]。
 輸入元は株式会社クリップコーポレーション。『蛍雪ゼミナール』という小中学生を対象にした学習塾の運営の他、サッカー教室や、運送業、化粧品販売など色々と手がけているようだ[15]。
 アメリカから輸入しているのまでは判るが、製造者は不明だ。

アジアロンジェビティ株式会社
 『コロイドミネラル』を『アクティブミネラル』と称し、通信販売を行っている企業だ。
 日本での唯一の正規代理店(エンジュビティ社ではない別企業)だそうだ。販売形態は通販とアフィリエイト、マルチ商法での展開は行っていないと、自サイトで説明している[4]。

 「植物ミネラルはガラスを通り抜けるほど粒子が細かい」と言っていながら、ガラス容器に入れて販売している辺り……まぁ、感想は言うまい。

ライフタイムバリュー株式会社
 HPによると、前述『エンジェビティ社』の公式な通信販売の企業で、マルチ商法は採用していない[16, 17]。

 ただし採用している商品『プラントミネラル』『プラミン』『ミラクルガーデン』の輸入販売元は、当然ながらエンジェビティ社で、ラベルと価格までエンジェビティ社とまったく同じだ。

●追記:権威者の言葉であろうと、簡単に信じてはいけない
 一部の『コロイドミネラル水』を販売するサイトでは、ライナス・ポーリング(Linus Carl Pauling、1901-1994)博士が、ミネラルの重要性を説明したと記している[18]。

 「全ての病気、病因、疾患はミネラルの不足である」と。

 この与太話を喧伝しているのは、Joel D. Wallach氏だ[3]。
 仮に1億2千万年譲ってポーリング博士がそのような話をしたとしよう。ノーベル賞を2度も受賞した人物の言葉なのだから、問答無用で信用すべきだ、と言う主張だと思われる。

 それなら、博士の別の言葉を投げ返すのが礼儀だろうな。

老齢を重ね権威のある人物が話しかけてきら、注意深くそして尊敬を持って聞いておくことだ。ただしそのまま信じてはいけない。君の知性以外に君の信頼を置いてはいけない。その年長者が、白髪であれ禿であれ、例えノーベル賞受賞者であろうとなかろうと――間違えているかもしれないからだ。だから君は常に懐疑的でなくてはならない。常に自分で考えることだ(手頃な訳文が見つからなかったので、俺の訳)[19]。


◎参考インターネット
[1] Reuters “U.S. company to label health foods ‘China-Free’ Sticker’s purpose is to ease worries about contamination, business explains” July 6, 2007.
     http://www.msnbc.msn.com/id/19637875/
[2] にわか旅人『植物性コロイドミネラル』2007年7月14日
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/47797278.html
[3] にわか旅人『ある自然療法医は嘘をつく』2007年7月8日
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/47114981.html
[4] アジアロンジェビティ株式会社HP
     http://activemineral.com/
[5] American Longevity HP
     http://www.american-longevity.com/index.html
[6] エンジェビティ株式会社HP
     http://www.engevity.co.jp/index.htm
[7] シナジーワールドワイド・ジャパン株式会社HP
     http://www.synergyjapan.jp/SynergyCorp/Home.aspx
[8] Synergy Worldwide HP
     http://www.synergyworldwide.com/SynergyCorp/Home.aspx
[9] 株式会社ゼネシスHP
     http://www.geneses.co.jp/index.html
[10] 日本ネイチャーズサンシャインプロダクツ株式会社HP
     http://www.nspj.co.jp/
[11] Nature’s Sunshine Products HP
     http://www.naturessunshine.com/Index.aspx
[12] ニューウエイズジャパンインクHP
     http://www.neways.com/japan/
[13] “Koloid Mineral” Neways Information, January 27, 2005.
     http://journals.aol.com/mikeyokokawa/Newaysinfo
[14] 株式会社アクアジャパンHP
     http://www.aqua-japan.net/index.html
[15] 株式会社クリップコーポレーションHP
     http://www.clip-cor.co.jp/index.html
[16] ライフタイムバリュー株式会社HP
     http://www.ltv.co.jp/
[17] にわか旅人『植物性ミネラル水って何?』
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/25479023.html
[18] 翔力HP『コロイドミネラルとは』
     http://www.show-riki.com/mineral/htmls/about_mineral.html
[19] Wikipedia『ライナス・ポーリング』
     http://bit.ly/1qFmBBK
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2007年07月14日

植物性コロイドミネラル

 幼稚園児だった頃の話だ。
 俺にそんな時期があったのか、とか、何十年前の話だとか、そういう突っ込みはなしで。

 泥団子を作った思い出がある。
 乾いた砂場の砂では粘度がないので、つなぎに泥水を使う。
 バケツに砂と水を入れ、かき混ぜるだけ。
 実に簡単な手順だが、幼稚園児のやる事だから。
 ……このいたいけな遊びが、後の俺の進路の選択に一役買っていたどうか……は別の話。

 この泥水を放置しておくと、当然ながら砂利(と泥)が底に沈み、ゴミと変な灰色になった水が上に来る二分化が起きる。水の色は、使った砂利や土の色で茶色やこげ茶色、極端な時は赤くなったりもする。

 そしてこれまた当然だが、幼稚園児ですらその上澄み水を飲もうとは考え付かないものだ。
 ……まして傍に親がいて、自分の子供がそんなものを飲もうとすれば、叱り付けてでも止めるだろ?

 実はこれが、基本的な『植物性ミネラル水』『コロイドミネラル水』の製法だ。衛生上の製造工程や材料の選択に違いがあるとは断っておく。

 つまりこれは、「あれ」だ。
 「土砂を水に漬けて、その上澄みを販売しています」
 ……問答無用で胡散臭い。と言うか、飲むと腹を壊しそうだ。
 正に文字通りの「 泥 水 商 売 」。

 ちなみに、この代物の呼び名は色々ある。
 『植物性ミネラル』『植物コロイドミネラル』『コロイドミネラル』など。アメリカ、オーストラリアで販売されている同様の代物は、概ね『コロイドミネラル、Colloidal Mineral』だ。
 ここからは『コロイドミネラル』で統一する。

●2種類のミネラル:金属性と植物性
 ミネラルというのは、無機の単体ないしは無機化合物の結晶を指す。つまり、一般的な有機物に含まれる元素(炭素C・水素H・窒素N・酸素O)を除いたもの全ての元素の事だ[1, 2]。

 栄養学的には、日本では厚生労働省によって、ヒトに欠かせない栄養素としているものが16種類ある。
 そのうちの7種(ナトリウムNa、マグネシウムMg、リンP、硫黄S、塩素Cl、カリウムK、カルシウムCa)は『主要ミネラル』と言われ、1日の摂取量100mg以上とされている。
 残る9種(クロムCr、マンガンMn、鉄Fe、コバルトCo、銅Cu、亜鉛Zn、セレンSe、モリブデンMo、ヨウ素I)は『微量元素』と言い、1日の摂取量が10mg未満とされている1, 2]。

 以上がざっとしたミネラルの説明だ。
 この中には「ミネラルの由来が植物性(自然・天然のオプションあり)ならば安心・安全」などとの文言と、「60種類やら70種類やらのミネラルが、ヒトの生存に必要だ」との記載は含まれていない。

 ところが『コロイドミネラル』を販売する業者に任せると、上の説明に下のようなオマケが付いてくる。

 ミネラルは、その由来により『金属性』と『植物性』に分けられる[3, 4]。

 『金属性ミネラル』とは、人体に害を及ぼすタイプのものだ。市販・あるいは普通に食事で摂取するミネラルが相当し、吸収率は8〜12%と効率が悪い。にがり、海水塩、海洋深層水もこの部類に含まれる。水俣病の原因となった水銀も、この金属性ミネラルだった[3, 4]。

 『植物性ミネラル』とは、人体に害を及ぼさない「植物由来」のミネラルである。粒子が細かいため、ガラスを通り抜けるほどの超微粒子で、血管の隅々にまで行き渡り、100%に近い吸収性を持つ[3, 4]。

 言うまでもないが、『金属性』と『植物性』とを分類する定義のようなものは見つけられなかった。
 ……あるはずないけど。

●ヒューミックシェール(Humic Shale)?
 コロイドミネラルは、アメリカはユタ州で発掘されるヒューミックシェール(腐植頁岩、Humic Shale)から抽出されたものだ。ヒューミックシェールとは、ジュラ紀(サイトによっては白亜紀)―ミネラルが豊富で生命に満ち溢れていた時代―の植物が、化石や石炭とならずに堆積したもので、当時のミネラルを大量に含んでいる[3]。

 まず。
 コロイドミネラルを紹介するサイト以外で、『Humic Shale』『腐植頁岩』と続けて使用しているところはない。

 『腐植(Humic)』は名前から判るように、植物などの有機物が腐敗(微生物による分解)した時の最終生成物(フミン質)の事だ[5]。
 『頁岩(Shale)』は、微小な泥(1/16mm以下)が水中で水平に積もった堆積岩の事で、薄く何層にも割れるという特徴を持つ[6]。

 確かに、骨や歯などの硬い部分が鉱物に置換され、残ったものが化石な訳だが、『稀に』炭化した植物が鉱物に置換されず、残っている場合もあるらしい[7]。
 それにShaleの層は、木の年輪に見えなくもない。それを誤解しているのかな?

 ……腐植物が堆積して頁岩になったのであれば、それはただの『頁岩(Shale)』、コロイドミネラル業者が親の仇のように嫌う『金属性ミネラル』なのだけどね。

 ヒューミックシェールがいつの時代の産物であろうとも、化石化していようが石炭になっていようが、ただの泥炭・汚泥になっていようが、言えることが1つある。
 水と混ぜればドロ水。それ以上でも、それ以下でもない。

 と言うか、有機物部分が鉱物に置換されずにいれば、ドロ水どころではなくて生ゴミを漬けた水そのものでないか?

●コロイドミネラルの製法[8, 9]
 1. ジュラ紀(業者によっては白亜紀)の地層から、腐植頁岩(ヒューミックシェール、Humic Shale)を発掘、粉砕、粉末化する。
 2. 粉末化した頁岩をステンレス製の樽(Vat)に入れる。
 3. 樽を低温の純水に浸漬する。
 4. 3〜4週間静置した後、吸引ろ過をして溶液を取り出す。

 これが大雑把な『コロイドミネラル』の製法だ。
 もっと簡単に言うと、
  「掘り返した土砂を粉砕して、水に漬ける。水が茶色になったら出来上がり」
 となる。

 やはりどう見ても「ドロ水の上澄み」にしか見えない。

 なにしろコロイドミネラルの原料は、地面から掘り返した土砂だ。それを洗浄せずに使う(土砂から不要な土砂を洗い落とすと何が残る?)のだから、どれだけ工場の衛生管理が行き届いていようが、最終製品は「洗浄せずに製造した泥水」だろ、これは。

●常識的な疑問「ドロ水は飲んで安全?」
 コロイドミネラルを販売する業者は安全だと主張しているが、その根拠が似非科学なミネラルの説明だけで、安全性試験の報告は見つかっていない。

 仮にコロイドミネラル水に細菌による汚染がないとしても、だ。
 泥水中には多種のミネラルが溶解している。これらのミネラルの中には、微量でも体外に排出されにくいものもあるかもしれないし、言うまでもなく長期に大量に飲用すれば、どのような成分でも危険になる[8]。
 さらに問題なのは、溶解している成分の中に、特定できない有機化合物が少なからず含まれている事だ[8]。

 PubMedで見つけた資料によると、『腐植』性の成分(特に石炭やシェールに由来するもの)を含む水は、甲状腺種を誘発する恐れがあると指摘してされている。もっとも、水に溶け出す粒子の種類にもよるだろう、との後述はされてはいる[10]。

 言うまでもないが、正常な悟性の持ち主ならば、ドロ水を飲もうとは考えないものだ。余程世間一般から隔絶された家庭ないし原始人的な社会で育ったのでない限りは。

 ドロ水を啜らないとならない程生活に困窮しているのか、治療法のない病気などで追い詰められた状況にあるのだろうか。

 なぜ高額な費用をかけて、有り難がって啜るのだろうね?


◎参考インターネット
[1] Wikipedia『ミネラル』
     http://bit.ly/1qFmNB8
[2] 「健康食品」の安全性・有効性情報『ミネラルについて』
     http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail655.html
[3] アジアロンジェビティ株式会社HP
     http://activemineral.com/
[4] 翔力HP『コロイドミネラルとは』
     http://www.show-riki.com/mineral/htmls/about_mineral.html
[5] Wikipedia『土壌』
     http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%A3%8C
[6] Wikipedia『頁岩』
     http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%81%E5%B2%A9
[7] Wikipedia『化石』
     http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E7%9F%B3
[8] James Pontolillo “Colloidal Mineral Supplements: Unnecessary and Potentially Hazardous,” Quackwatch, December 11, 1998.
     http://bit.ly/1qGWURa
[9] 株式会社ゼネシスHP
     http://www.geneses.co.jp/index.html
[10] Laurberg P, Andersen S, Pedersen IB, Ovesen L, Knudsen N, “Humic substances in drinking water and the epidemiology of thyroid disease.” Biofactors, 2003; 19 (3-4): 145-53.
     http://1.usa.gov/1qFmSob
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2007年07月08日

ある自然療法医は嘘をつく

  現在、我々が口にする農作物に含まれるビタミン・ミネラルは、数十年前の農作物の1/10、いや1/100以下の量しかない。これは一か所の農地で何年・何十年も同じ作物を育成している事、そして化学肥料や農薬の使用により、土中のミネラルが破壊され、減少しているためだ。
  いかに我々が大量の野菜と果物を摂取しようと、ヒトの胃の容量には限界のあるため、かつてのような十分な量のミネラルを摂取する事はできない。
  つまり、我々は満腹でありながらも、少しずつ餓死へと向かっているのだ。
  それを防ぐためにも、我々は積極的にミネラルを摂取しなくてはならない。しかしそれとて、最近の化学薬品で汚染されたミネラルでは危険だ。
  人類が誕生する以前、現代よりも生命に満ち溢れていた時代の土壌から取り出したミネラル、これこそが現代に生きる我々が健康で長生きするための唯一の方法だ。


 これと同じでなくても、似たようなニュアンスの説明はよく聞くし見かける。
 そしてミネラル不足解消の救いと紹介されるのが、「天然自然な土壌から抽出した60種(物によっては70種以上)のミネラルが溶けている」という触れ込みの、ガラス容器に入った黄色とも茶色とも見える『ミネラル水』だ。
 ……そうそう。
 「従来の化学薬品から作られたミネラルと違い(植物性だから、コロイド化させているから、のオプションあり)吸収性に断然に優れている」の一言も忘れてはいけない。

 さて。
 さしたる科学知識がなくとも「胡散臭そうだ」と判断の付けられるこの与太話を世界中に広めたのが、アメリカ人の獣医にして自然療法医のジョエル・D・ワラック(Joel D. Wallach)博士だ。

●ジョエル・D・ワラック(Joel D. Wallach)
 この人物を説明するには、ただのミネラル水より『コロイドミネラル』『植物ミネラル』とすると通りが良いかもしれない。

 ワラック氏はアメリカのみならず、『コロイドミネラル』で悪名を馳せる人物だ。19世紀辺りであればSnake Oil Salesman(日本でなら『ガマの油売り』と言ったころか)として成功していたかもしれない。実際、オーストラリアのある専門家は、そのように評している[1]。

 ワラック氏は1964年にミズーリ州立大学(University of Missouri)で獣医免許(Doctorate in Veterinary Medicine; D.V.M.)を取得した[2]。
 1960年代の後半はセントルイス動物園で獣医として勤務。

 やがて観察していたサルから、嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis)の原因が脂肪酸とセレン(Se)の欠乏にあるとの仮説を立てたのだが、当時から、嚢胞性線維症は遺伝子の欠損が原因と推測されていたものだ。生化学(遺伝子学)が未発達だったため、問題の遺伝子は発見されていなかったが[1]。
 それでも、わずかながらの研究者の関心は引いた。
 結果、嚢胞性線維症はセレン不足とは無関係であると確認され、さらに後年になり、嚢胞性線維症の原因である遺伝子が発見され、ワラック説は完全な誤りである事が決定的になった[1]。

 これを期に、ワラック氏は科学的な研究からは身を引き、自然療法医へと方向を変えた。まっとうな学会から科学的な根拠を求められる心配をせずに、自説の研究を人体で進めることができるからだ[1]。

 そして1982年に、オレゴン州のNational College of Natural Medicineで、自然療法医(Doctorate in Naturopathic Medicine; N.D.)を取得した[2]。

 ワラック氏は今日においても、嚢胞性線維症の原因がセレン不足にあると主張し、その他の数多くの病気はミネラルの補給により予防・治療が可能だと、世界中を講演して回っている[1]。
 ただしその目的は、科学的に否定された自説の正当性を(科学的根拠なしに)主張し続けるためではなく、自身が主催するマルチレベルマーケティング(MLM、Multi-Level Marketing、連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法)企業の下位会員を集めるためだ[2]。

 講演内容はビタミンとミネラルの関係を説いた生化学もので、この両社の関係を理解すれば、誰よりも長く健康で生きられる秘密らしい[2]。

 生化学の体裁を取り繕ってはいるが、現代科学とは相容れない似非科学な内容、というのが健全な科学知識を持つ人達の評価だ[3]。

●死んだ医者は嘘つかない(Dead Doctors Don’t Lie)
 サポーター(会員、信者とも言う)の信仰を得るため、ワラック氏の商品を扱う企業(代理店含む)では、講演を収録したテープ(最近はCD)を販売している。
 そのタイトルが『死んだ医者は嘘つかない(Dead Doctors Don’t Lie)』だ[3, 4]。

 名前の由来は「……だけど生きている自然療法医は嘘をつく」と自虐的な意味合いを込めたもの……ではない。
 「アメリカの医師の平均寿命は、一般的なアメリカ人の平均寿命よりもずっと短い。そんな自分の健康すら守れない医師達に、一般人の健康など守れるはずがない。人の生命を守るのが医師だと言うが、医師の短命さを見れば、それが嘘なのは一目瞭然だ。死んだ医者は嘘をつかない」
 という主張からのタイトルだ[3, 4]。

 ワラック博士の主張の最たるものは、「ヒトもその他の動物も、数多くの病気に苦しめられている。その原因は、食料に含まれるミネラル不足によるもので、十分なミネラルを摂取すればもっと長生きできる」というものだ[1, 3-6]。

 が、それらの主張の多くは、科学的・医学的な根拠が示されていない、もしくは明確に誤りであると証明されている。タイトルの由来となった医師の平均寿命が一般のそれよりも低いというワラック氏の主張も、否定されている(医師の寿命は一般人より高いと確認されている)[3]。

 ワラック氏の主張は、自分に都合の良い似非科学の布教だけではない。

 1991年、ワラック氏は「先天性の病気を、微量のミネラルの使用により予防できる事を発見」し、ノーベル医学賞にノミネートされた[1, 3-5]。
 この言い分はワラック氏の『植物性ミネラル水』『コロイドミネラル』の信奉者が頻繁に使用するものだ。
 が、これはでまかせだ。
 ノーベル協会(Nobel Committee)では候補者の名前を開示しないので、候補者自身ノミネートされたかどうか、知る方法はない。ワラック氏本人、もしくはその取り巻きが『推薦状』を送り、『ノーベル賞候補』と広めたと思われる[7]。
 言うまでもなく、そのような『候補者』を、ノーベル協会は検討対象としていない。ワラック氏の場合、『ノーベル賞候補』の主張に関し、ノーベル協会がわざわざ手間隙かけて公式の場で否定している[1, 3, 7]。

●被害者は既に出ている?
 この手の似非科学(医療・健康話・宗教でも可)に関わる人物から、時々このような意見が出てくる。
  「これを使った(信じた)事で、自分は健康になった(救われた)。信じる・信じないはともかく、被害に遭った人がいないのだから、それでいいではないか」

 残念ながら、そうはいかない。

 1995年の話だ。
 National Council Against Health Fraud (NCAHF)に、ある報告が届けられた。ワラック氏がサンフランシスコの病院で治療した患者が、キレーションセラピーで「毒殺」されたのではないか、というものだ[7]。
 患者は以前から心臓に疾患を抱えており、キレーションセラピーのために月に1、2回ワラック氏のいる病院を訪れていたそうだ。
 さらにこの人物は、一見すると『泥水』のような液体も服用をしていた。この液体の正体は不明だが、FDAから高濃度の毒物を含むという理由で禁止された飲み物と似ていたようだ[7]。

 死亡した患者は火葬にされたため、死因がワラック氏の医療行為なのか、持病によるものなのか、追求することはできない。しかしワラック氏は獣医で自然療法医であり、ヒトに医療を行う資格を持つ医師ではない。医師法違反の疑いは否定しきれない[7]。

 この報告を『被害』とするのは、正直難しい。
 しかしワラック氏が、違法(かそれに近い)行為を働いていたのは確かと見て良いだろう。


 ……ワラック氏(博士と呼ぶもおこがましい)はこの辺にしておく。
 コロイドミネラルの話を続けると長くなるので、その話は別の機会に。


◎参考インターネット
[1] Stuart Adams “Youngevity Australia, Colloidal Minerals & Dr Joel Wallach” Nutra-Smart.net, February 27, 2007.
    http://nutra-smart.net/al.htm
[2] Wikipedia “Joel D. Wallach”
    http://en.wikipedia.org/wiki/Joel_D._Wallach#Sites_run_by_Wallach
[3] James Pontolillo “Colloidal Mineral Supplements: Unnecessary and Potentially Hazardous,” Quackwatch, December 11, 1998.
    http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/DSH/
colloidalminerals.html
[4] 『死んだ医者は嘘をつかない』
    http://luckydia.web.fc2.com/genki/wallach.html
[5] エンジェビティ株式会社HP
    http://www.engevity.co.jp/index.htm
[6] Robert Todd Carroll “Joel D. Wallach, ‘The Mineral Doctor’" the Skeptic’s Dictionary, December 12, 1998.
    http://www.genpaku.org/skepticj/deaddocs.html
[7] “Dead Doctors Don’t Lie! But This Living Veterinarian Does!” NCAHF News, March- April, 1996. Vol. 19 (12).
    http://www.ncahf.org/nl/1996/3-4.html
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2007年07月05日

ナチュラル・クリニック代々木(2)

 以前、『ナチュラル・クリニック代々木(以下、CN代々木)』に関し、ちらとメールでやりとりした事のある人物から、久々にメールが来た。
 『CN代々木』が院長不在を理由に、休診の案内が来たのだそうだ。

==ここから(2007年7月2日付)===
 平素は当クリニックをご利用頂き誠に有り難うございます。
 大変申し訳ありませんが、当クリニックは管理者(院長)不在のため、去る6月22日より12月末日までの予定で休診させて頂くことになりました。
 皆様にはご迷惑とご不便をおかけ致しますが、再開の目途が立つまで、ご理解とご容赦を賜りたく宜しくお願い致します。
 なお、HBCのサロンにおいて、サプリメントや健康相談に関し、月曜日から金曜日までの間、カウンセラーが無償で対応させて頂きますので、遠慮なくお越し下さい。(TEL03-3355-1252)

医療法人社団・一友会
ナチュラルクリニック代々木
===ここまで===

 さて。
 折も折、ここの院長、白井洋一朗氏が、三鷹市の『りゅうえいクリニック』の院長もするとの情報を、しばらく前にもらったばかりだ。代々木の方と兼任するのか、りゅうえいクリニックの専任になるのかどうかは不明だったが。

 ところが『りゅうえいクリニック』のHPは6月末に突然消えている。
 消えた時は、7月3日のプレオープン(本オープンは8月8日予定)に合わせて更新の準備だろうと思ったけれど、7月5日の現在になっても復活していない。

 そうそう。
 もらったメールによると、『CN代々木』のHP内『診療の流れ』に、これまでなかった一文(正確には3文?)追加されたそうだ。
     http://www.natural-c.com/flow/index.htm
 ……ただしHPのどこにも、現在休診中だとの案内は書いていない。

===引用開始(2007年7月5日)===
3. サプリメントのご提案
最後にサプリメントのご提案をします。サプリメントの購入は強制ではありませんので、ご予算の範囲で無理なくお求めください。
(中略)
※当院のカウンセラーは、一般的な資格を持った臨床心理士や心理療法士ではなく、当院独自の資格を持った者です。心理学や精神医学だけでなく、予防医学や代替医療、特に栄養療法に関して詳しく勉強しています。

※サプリメントはクリニックとは別の店舗でご購入いただきます。費用は、組み合わせや量により違ってきますが、1ヶ月あたり2〜5万(内容によってはそれ以上)かかります。
===ここまで===
 サプリメントだけで月2〜5万円って……。

 ところで、「当院独自の資格を持ったカウンセラー」って、以前のエントリによると、NPOの資格だとあったな。
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/30673103.html

 言うまでもないが、これはおそらく『内閣府認証・特定非営利法人 予防医学・代替医療振興協会』で出している資格『予防医学指導士』と『代替医療カウンセラー』だろう。
     http://www.pamedicine.jp/academy/q&a.htm

 ……どちらの資格の受講科目も、見ただけで頭が痛くなるタイトルが揃っている。

 カウンセラーの資格はさておき。
 一体何が起きているのだ? 急病? 逃亡? 仲間割れ? 突然良心に目覚めた!?
 まさか、俺以外にも渋谷保健所に質問というか苦情を入れた人が、意外に多かったとか?
 個人的には、こんなクリニックは消えれば良いと思っているけどな。似非科学な医療は要らないし、サプリメントの代金の方が普通の医薬品より高くつくなんて馬鹿げているし。

 ……今回はぐだぐだだ。
posted by にわか旅人 at 23:39| Comment(42) | TrackBack(0) | 悪徳商法追放 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月25日

微小生命体ソマチット

 ヒトの血液中には、極小な生命体が生存している。この生命体は健常者には無害な活動をしているが、ガンなどの他の病気を抱えているヒトには、免疫機能を低下させる毒素を出し、病気の進行を促す活動を取る。
 血液中のこの生命体の数と変態段階を観察すれば、病気の種類と進行が診察できる。また、この生命体の活動を左右することで、ガン他の病気の治療にも応用できる。

 「まともな」生物の本ならばどこも取り上げないこの『生命体』は、ソマチット(somatid)と呼ばれている。
 Somatid(複数形はsomatids)だから『ソマチッド』と発音するべきなのだろうが、『日本ソマチット学会』の副会長、福村一郎氏にならい「ソマチット」としておく。[1]

●ソマチットとは
 ソマチットとは、ガストン・ネサン(Gaston Naessens)が自ら開発した暗視野顕微鏡『ソマトスコープ(Somotoscope)』でヒトの生きた血液を観察し、発見した生命体だ。[2]
 ネサンによると、ソマチットは外部から侵入した細菌やウイルスの類ではない。元々ヒトの血液中に生息する生命体で、その活動により健康と病気が左右されるとしている。

 ソマチットの生態としてのサイクルは、大別して2種類存在する。
 健康なヒトの中にあるうちは単純な活動しか取らない。健康なヒトの中にあるうちは、『マイクロサイクル』と呼ばれるサイクルを取り、これは3形態しかない。
 しかし環境の悪い(ガンなどの重篤な病気を持つ)ヒトの中にあると、ソマチットは『マクロサイクル』と呼ばれるサイクルに移り、身体に影響を与えていく。こちらはバクテリアや酵母菌、カビに似た形状を含めた16形態がある。

 ソマチットがマクロサイクルに移行するのは、病気により免疫機能が低下し、細胞内の体液の変化が原因だと、ネサンは推測している。このような環境の変化(病気だけでなくストレスも含む)により、ソマチッドは毒素と『トレフォン(trephones)』と命名した成長ホルモンを分泌する。
 これらの物質が正常な細胞の活動の阻害と免疫機能の低下を促進し、病態を進行させるのだ。

 ネサンはさらに、ソマチッドの分泌する毒素とホルモンは細胞分裂にも影響を及ぼし、原始的な細胞を増殖させるとしている。この原始細胞が体内の窒素を取り込み、全身の細胞に「窒素欠乏状態」を作り出し、最終的にはガン細胞になるのだ。
 ガン細胞は『ガン細胞前駆体(co-cancerogenic K factor (CKF))』を生産し、これもまた免疫細胞の活動を阻害する原因となる。

 血液中のソマチットの数と形状を観察すれば、病気の種類と進行を予測・診察することができる、と言うのがネサンの主張だ。

 残念なのは、ソマチットの存在を示唆する研究論文は、査読のある専門誌に提出されていないし、ネサンのガンの発祥理論は、現在の科学とは相容れないものである、という点だ。

●ソマチットの観察(ソマトスコープ)
 Gaston Naessensの発明した暗視野顕微鏡『ソマトスコープ(Somatoscope)』は、従来の光学顕微鏡では着色した「死んだ」細胞を観察するのに対し、着色の必要なしに「生きた」細胞を観察できるという利点がある。
 ソマトスコープで拡大できるのは約3万倍。後発の電子顕微鏡であればもっと高い拡大が可能だが、電子顕微鏡もサンプルの加工が必要なため、観察できるのは「死んだ」細胞となる。
 ソマチットは「死んだ」状態では観測できないので、ソマトスコープはソマチットを観測する有効な手段だ。

 ソマトスコープの原理は、2種類の光波(可視光線と紫外線)を合わせることで、3つ目の、より高い周波数の光波を作り出すことにある。この第3の光波を磁力により分裂させ(Zeemann Effect; ゼーマン効果)、サンプルに当てると、サンプルそのものが光を放つようになる。これにより、これまでの光学顕微鏡の30倍の解像度と拡大率を得られる、という理屈だ。[3][4]

 「死んだ」細胞では活動は観測できなくとも、それなりの残骸ないし形跡は観測できるとするのが妥当だろう。しかし血液(血漿、赤血球)から、そのような生命体の存在を示唆する残滓が観測された報告は上げられていない。

●ガストン・ネサン(Gaston Naessens)
 Gaston Naessensは1924年生まれ、カナダはケベックに住むフランス人の科学者だ。
 一般的な顕微鏡が、サンプルを着色した「死んだ」細胞を観察するのに対し、着色の必要なしに「生きた」細胞を観察できるソマトスコープを開発した人物だ。
 ソマトスコープで「生きた」血液を観察した結果、血液中にこれまで未確認だった生命体『ソマチット』を発見し、それが遺伝子に影響を与える疾患との関係が明らかとなった。
 そしてガンなどの病気を発症した人体のソマチットの活動を抑制し、正常な活動に戻すことで、うまくいけばガン細胞の縮小化にも貢献するだろうと、新薬「714X」の開発をしたのだ。

 ネサンと法廷は、親和性が高い。
 1956年、母国フランスの法廷で、ネサンは無免許での医療活動を行った罪で、有罪判決を受けている。[5]
 1980年代には、カナダで健康系の詐欺容疑で終身刑を求刑されていたが、714Xの使用者が大量に法廷で証言した為、無罪となっている。
 ただし714Xがガン治療に貢献したという、専門家が査読・検証できる知見データは、何一つ提出されていない。[6]

●714-X
 自称・新薬『714-X』は、ガストン・ネサンがガン治療用に開発した商品だ。
 この商品の有効性及び安全性に関するデータは、動物実験も含め2006年7月時点においても、査読のある専門誌では発表されていない[7]。動物実験を行った第三者機関の報告はあるが、結果は陰性、効果は確認できなかったとされている。

 「714X」の商品名は、Gaston Naessansのイニシャルと、生まれた1924年に由来する。『G』はアルファベットの7番目、『N』は14番、そして『X』は24番目による。
 アメリカFDAの分析によると、94%が水、約5%の硝酸塩、1.45%のアンモニウム塩、各1%未満のエタノール、ナトリウム、塩素、そして0.01%未満のカンファー(樟脳)から成る。この樟脳は、Cinnamomum camphoraというシナモンの低木から抽出したものだ。[8]
 Naessensがカンファーを選択したのは、カンファーがガン細胞と特別に引き合う特性を持っていると「信じていた」からであり、科学的な根拠があったのではないようだ。同様の「信じていた」という理由から、細胞の窒素欠乏症対策のために硝酸塩を加え、ガン患者のリンパ腺の回復にとアンモニウム塩を加えている。
 714Xはガン・AIDS・その他の慢性病の治癒効果を謳いカナダ、メキシコ、西ヨーロッパで販売されているが、アメリカのFDAやカナダの医薬局には承認されていない。

 714Xの効果効能を謳った書籍を販売、さらに「714X」を密輸入・販売していたニューヨーク州のWriters & Research Inc.は、未承認医薬品の輸入・販売を行った件でFDAから告訴され、1996年に有罪判決が出されている。[9][10]
 法廷において、Writers & Research Inc.側の弁護士は、「714X」はホメオパシーの薬だと主張している。よってFDAの規則に抵触するものではない、と。
 しかし「714X」のラベル表記『trimethylbycyclonitraminoheptane-chloride』から、これがホメオパシーと判断する事はできないと、その主張は退けられている。
 書籍では「714X」の効果として、エイズ、ガン、リューマチその他の自己免疫疾患の治癒率が75%と謳っていた。この「治癒率75%」の数字は、『日本ソマチット学会』でも副会長の福村一郎氏が「驚異的」と伝えている。

 カナダでは2006年10月2日から、「714X」をSAP (Special Access Program)を通じて入手できるようになっている。これは他に治療法がない場合のみ、つまり気休め的な目的で適用される措置だ。[11]

●日本ソマチット学会(Japan Society of Somatid Science)
 日本では『日本ソマチット学会(Japan Society of Somatid Science)』という組織が2005年3月に設立されている。

 ソマチット学会で行うソマチットの説明は、ネサンが提唱していたものとは微妙以上のずれを持っている。
 ここでの『ソマチット』とは。
 「ヒトの体内に共存し、体内の環境が悪化すると自ら殻を作り出し、その中に閉じこもる事で数千万年を生き永らえる事のできる不死の微小生命体。
 ソマチットの血漿中の増減と、ヒトの免疫力の強弱は比例し、生命活動に大きな影響を持つ。
 さらにはガンの予防・治療にも応用できる可能性があり、昨今の代替医療で注目を寄せられている」

 との事だ。

 DNAの前駆物質の可能性も示唆しているが、『生命体』と言っていながら『物質』と称する辺り、ソマチットが生命なのか物質なのか、明確ではないようだ。

 この組織の理事長は、松永修岳(まつなが しゅうがく)氏、『風水環境科学研究所』の代表も務める人物だ。
 『風水環境科学研究所』でのプロフィールでも、風水や運命学その他の学問(宗教)に手を染めていたかを語っている。[12]


◎参考インターネット
[1] 日本ソマチット学会HP:
     http://www.somatid.net/aisatsu.html#a01
[2] Elizabeth Kaegi “Unconventional Therapies for Cancer: 6. 714-X,” Canadian Medical Journal, June 16, 1998; 158 (12) 1621-1624
     http://www.cmaj.ca/cgi/reprint/158/12/1621.pdf
[3] Norman Allan “Gaston Naessens and 714-X”
     http://www.normanallan.com/Med/714.html
[4] Steven R. Elswick “The Amazing Wonder of Gaston Naessens” Nexus Magazine, February –March 1994.
     http://www.whale.to/v/naessens.html
[5] American Cancer Society “714-X” June 1. 2005.
     http://bit.ly/1qFnryv
[6] National Cancer Institute “714-X (PDQ)” July, 24. 2006.
     http://www.cancer.gov/cancertopics/pdq/cam/714-X/patient
/allpages/print
[7] “Complementary and Alternative Medicine, 714-X Information for Patients.” Dona-Farber Cancer Institute, September 23, 2005.
     http://bit.ly/1jxdUQi
[8] Stephen Barrett “Fanciful Claims for 714X” Quackwatch, March 22, 2002.
     http://bit.ly/1qFnydo
[9] “Court Affirms Conviction for Peddling Phony AIDS Cure.” AIDS Policy and Law, July 25. 1997; 12 (13): 15
     http://1.usa.gov/1qFnB96
[10] Paula Kurtzweil “Promoter of 714X Cure-All Faces Prison for Selling Unapproved Drug” Quackwatch, March 22, 2002.
     http://bit.ly/1qFnH0c
[11] “Federal Court Agrees with 714-X Patients.” National Coalition for 714X, Oct. 2, 2006.
     http://www.coalition-nationale-714x.com/CoalitionLettreMD_20061002en.pdf
[12] 風水環境科学研究所HP:
     http://www.fusui.co.jp/index02.html
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2007年06月19日

予防医学・代替医療振興協会(2)

 以前、神津健一ニセ医学博士が理事長を務める『特定非営利活動法人 予防医学・代替医療振興協会(Society of Preventive & Alternative Medicine、以下P&A)』について、少し触れた。
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/31394126.html

 この記事を書いた時には、P&AのHPはキャッシュ上にしか残っていなかったのだが、最近になって再検索をしてみたら、HPが復活していた。
     http://www.pamedicine.jp/index.htm

 さて、このHPの協会概要のページから、この協会を少し見てみた。
     http://www.pamedicine.jp/society/index.htm
===引用開始===
法人名: <内閣府認可・特別非営利活動法人>
予防医学・代替医療振興協会
Society of Preventive & Alternative Medicine
【略称】 P&A
設立: 2006年3月23日(平成18年3月23日)
日本事務局: 東京都渋谷区千駄ヶ谷5−21−6プラザF-1ビル 7F
TEL: 03−5269−1731(代)
FAX: 03−5269−6540
理事長: 医学博士 神津健一
日本医学交流協会理事
NPO・生活習慣病予防学術委員会
事務局長(専務理事): 理学博士 秋好憲一
細胞栄養学総合研究所 主任研究員
===ここまで===

 日本の法人のくせに『日本事務局』かよ。
 と言う事は、『米国公益法人』を騙っていた(と思われる)時に作ったデータの名残だな。
 ……ところで、理事長のところに『NPO・生活習慣病予防学術委員会』とあるのだけど、どういう役柄にあると言いたいのかな?

 『NPO・生活習慣病予防学術委員会』は、NPO公式HPにある検索を使うと、登録されているのが確認できる。
     http://www.npo-homepage.go.jp/
 とは言え、所轄が東京都、設立が2001年7月2日だという以外、ほとんど何もデータが出てこない。
 ……HPはあるけどな。
     http://www.ludpac.org/modules/tinycontents/index.php?id=8
 まぁ、認定している商品を眺めれば、胡散臭い団体だというのは一目瞭然だ。
 ……何せP&Aと根っこは同じだから、違うものを期待しても無駄か。

 事務局長(専務理事)の秋好憲一氏は、協会の定款によると『副理事長』とある。
 『健康本の世界』によると、この御仁の理学博士の肩書きは、Degree Mill(学位商法)のPacific Western Universityで購入した紛い物のようだ。
     http://khon.at.infoseek.co.jp/chosha/a049.html
===引用開始===
函館ラサール高校、成蹊大学(政治経済学部専攻)出身。
米国パシフィックウエスタン大学、大学院(生医科学コース専攻)修了。
===ここまで===

 P&Aのページをもう少し下がって、『運営理事』の項目まで下がると、『株式会社サンヨーメガ 代表取締役 会長』として「中村稔」の名前が8番目に出てくる。
 そして中村氏も『生医科学博士』を名乗っている。
 更にP&Aには、この『生医科学博士号』を持つ人物が、中村稔氏の他に福原三郎氏を加え、計2名が存在する。
 ……あくまで直感で言えば、99.9%、PWU辺りで購入した学位だろう。

 ところで以前、中村稔氏とサンヨーメガ社社長三浦洋氏は同一人物のようだ、と書いた。
     http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/31394126.html
 しかしソースとなった『悪徳商法バスターズ』の最近のコメントで、二人は実の兄弟だとの情報が出ている。
     http://akutoku.bz/index.php?UID=1116247746

 もう一人の生医科学博士、福原三郎氏に進む。
 氏は『火・水・風・国際触圧協会』の会長との事だが、google検索してもNPO検索しても、電話帳検索しようが帝国データバンクで検索しようが、それらしい組織名が出てこない。
 P&AのHPの日付を見ると2006年9月20日時点でのデータなのだから、この組織が存在しないというのもおかしな話だ。google検索するとトップで出てくるのが、P&Aなのだよな。
 ……と言うか、名前だけで凄く「胡散臭い」。

 NPOに提出している定款には記載されていないが、P&AのHPでは運営理事に名前を連ねている人物に、松原義泰(まつばら よしやす)氏がいる。『(元)厚生事務次官』との肩書きだ。
 氏の名前で検索すると、氏の書籍の中から『世界FTZ協会日本事務局世界FTZ協会日本事務局』という長い名前の組織が出てくる。
 正確には、『米国法人 世界FTZ協会』だ。
     http://www.wws.ne.jp/ftz/ftz.html
     http://bit.ly/1jAxevP

 この組織はHPを辿れば明らかだが、『インターナショナルダイレクトマーケティング促進協議会、通称ワールドウォッチングソサエティ(略称:WWS)』の下部組織だ。
     http://www.wws.ne.jp/index/index.html
     http://bit.ly/1qGXBKr

 名前からも判るように、いわゆるネットワークビジネス、つまりマルチ商法などの『連鎖販売取引』に係る業種の擁護団体の一つだ。
 そして松原氏はWWSの常務理事として記載されている。
     http://www.wws.ne.jp/profile/matsubara.html

 『(元)厚生事務次官』などと肩書きはあっても、この松原氏も所詮はマルチ商法つながりだったか。
 ……経歴は立派なのにねぇ……。

 前々から判りきっていた事だけど……。
 P&Aがここまで胡散臭い人物達の溜まり場的組織だったとはね。
posted by にわか旅人 at 00:07| Comment(11) | TrackBack(0) | 悪徳商法追放 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月13日

ダイオードの光で痩身

 先日の『ビューティーワールド・ジャパン2007』で、リポライト(Lipo Light)という器具が出ていた。
 これは発光ダイオード(LED)の赤色光が、しわのリフティングに有効だとか、痩身に効果あるとか、実際の効果の程は眉をベトベトにして聞きたい内容の代物だ。

 この手の装置を販売する企業は複数あったが、その中の1社が、根拠として『米国形成学会』の論文をプリントアウトし、ブースの一角に貼り付けていた。
 ざっと飛ばし読みしたところ、「低出力レーザーでの『出力vs照射時間』による脂肪細胞に増減があるかを実験したところ、脂肪が溶けて体外に排出されるのが確認された」という内容だ。

   美容・健康ニュース『アンテナ / ダイエットプログラム「リポックス痩身」の販売をエステサロンに向けて開始』2007年5月25日
     http://www.e-expo.net/news/2007/05/20070525_03.html
===引用開始===
(前略)特定波長と強さの分光型ダイオード光機器「Reduction」が脂肪溶解を行い、次いで健康食品5種の摂取によって脂肪の代謝を行い、パラディックスMA変調波機器「LIV」によって脂肪を燃焼・排泄するというもの。

 「Reduction」は、特定波長と出力の分光型ダイオード光が脂肪を99%溶解させるという米国形成学会の論文に基づき開発された。そのメカニズムは、分光型ダイオード光の放射により脂肪細胞を包む細胞膜である“リン脂質”の電子バランスを乱すことで細胞膜に無数の穴が開いた状態になり、遊離脂肪酸を放出させるというもの。
===ここまで===

 『米国形成学会』がどういう謂れのある学会か前知識がなかったので、その時はこの論文の信憑性は保留としておいた。
 最近になり、この論文の事を思い出したので、ちょいと調べてみた。

Neira Rodrigo, Arroyave Jose, Ramirez H, et al. “Fat Liquefaction: Effect of Low-Level Laser Energy on Adipose Tissue.” Plastic and Reconstructive Surgery, 2002 Sep 1; 110 (3): 912-22; discussion 923-5.
     http://1.usa.gov/1jAxwD7
     http://bit.ly/1jAxGKt  

 「635nm、10mVの低出力レーザー(『Low-Level Laser Energy』の訳として妥当かどうか不明)を、12名の健康な女性から採取した細胞サンプルに照射(2分、4分、6分)し、TEMとSEMで観察したところ、6分の照射で脂肪細胞の99%が潰れ、脂肪を排出しているのが確認できた」

 この論文の概要をさらにまとめると、このような感じか。
 ……分光型ダイオード光と、Low-Level Laser Energyって、まったく別物のような気がするのだけど、どうなのだろうね?

 概要を読んだ程度では、俺程度の知識では、実験が目的に沿う内容だったのかどうかは判断できない。
 ……だが。
 この論文は試験管実験(in vitro)の結果だ。
 「This study examined whether 635-nm low-level lasers had an effect on adipose tissue in vivo and the procedural implementation of lipoplasty/ liposuction techniques.(635nm、低出力レーザーがin vivoでも効果があるか、試験した)」
 とあったから、思わず臨床試験の結果かと誤解しかけた。

 知っての通り、ヒトの身体には『皮膚』というバリアーがある。かなり丈夫な代物だ。
 レーザー光が皮膚を通過して、脂肪細胞にまで到達するとは、素人考えでは「とてもでないけれど、無理な話だろ」な話だ。
 ……少なくても、数分間皮膚に当てても外傷のできない程度の出力では、な。

 つまり、生きた人体に使っても効果はないだろう、と俺なりの予想は働く。
 ……実際どうなのかは知らない。

 2002年の論文発表の後、このグループが臨床試験をしたのかどうかは不明だ。
 調べた限りでは、試験管実験以上の進歩はなさそうだ。

Neira R, Toledo L, Arroyave J, et al. “Low-Level Laser-Assisted Liposuction: the Neira 4L Technique.” Plastic and Reconstructive Surgery, 2006 Jan.; 33 (1): 117-27, vii;
     http://1.usa.gov/1qGY1AA

 この概要によると、相変わらず試験管試験(in vitro)で効果が確認されている、としかない。
 他の試験はしていないか、肯定的な結果は出ていないようだ。

 代わりに別のグループが追試を行っているが、こちらは否定的な結果を出している。

Brown SA, Rohrich RJ, Kenkel J, et al. “Effect of low-level laser therapy on abdominal adipocytes before lipoplasty procedures.” Plastics and Reconstructive Surgery; 2004 May; 113 (6): 1796-804; discussion 1805-6.
     http://1.usa.gov/1jAxVFr

 この論文では、低出力のレーザーを正常ヒト白色脂肪前駆細胞(preadipocytes)に照射したところ、コントロールとの違いはなかったとある。他にも何種類かの方法で確認試験を試みているが、いずれも脂肪細胞から脂肪が溶け出すという現象は確認できなかったと報告している。

Medrado AP, Trindade E, Reis SR, Andrade ZA. “Action of Low-Laser Therapy on Living Fatty Tissue of Rats.” Lasers in Medical Science; 2006 Apr. 21 (1): 19-23. Epub 2006 Mar. 25.
     http://1.usa.gov/1jAxYBj

 こちらではラットにレーザー光を当て、脂肪細胞に影響が出ているかどうかの解剖を行っている。
 それによると、だ。
 「変化は褐色脂肪組織に限られ、複数の液胞を持つ型(multivascular)から液胞が一つの型(univascular)に変わっている。レーザーの照射時間の長いものほど、液胞の大型化・単一化は顕著だった」
 「低出力レーザーは、褐色脂肪組織の合体と融合の原因となる。さらに、細胞外基質の毛細血管の拡散と充血を促進している」

 Wikipediaによると褐色脂肪細胞とは、ヒトの幼児や一部の動物の熱生産のための脂肪組織で、主に首の周りと胸郭の血管に位置するものだ。
 成人とは無縁の組織なのか。
 ……そもそも成人にこの組織はあるのか? アンテナが低いだけかもしれないが、聞いたことがない。

 さてさて。
 冒頭でも述べたが、この研究の成果は、展示会で偉そうに説明されていたものだ。
 しかし試験管実験で再現性が証明されず、ラットを用いた動物実験でも褐色脂肪組織にしか変化が出ていない。
 ……果たしてこの研究は、「所詮この程度のもの」だったのか、「まだこの程度しか進んでいない」のか、どちらだろうね?

 と、真面目(?)に書いてきたが、一点見落としていた。
 分光型ダイオードで本当に脂肪を溶解・排出できるのなら、肥満やメタボリック・シンドロームに悩む先進国の医療機関が、とうに取り上げている。

 そのような動きは、少なくとも俺の知る限り皆無だ。
 ……ま、そういう代物だ。


◎参考
Wikipedia『細胞』
     http://bit.ly/1jAyaAz
Wikipedia『脂肪組織』
     http://bit.ly/1qGYiU4
Wikipedia『皮膚』
     http://bit.ly/1qGYkeI
Wikipedia『ダイオード』
     http://bit.ly/ZrHeVc
有限会社アンテナHP
     http://www.lipolight.net/
posted by にわか旅人 at 00:50| Comment(1) | TrackBack(0) | 似非科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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