『あるある大辞典2』の捏造から、他放送局の健康番組にも捏造の波紋が広がっている。
TBSの『人間!これでいいのだ』も、例外ではない。
http://www.tbs.co.jp/korede-e-noda/
朝日新聞『TBS、「頭の良くなる音」でおわび 表現に行き過ぎ』2007年2月8日
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007020703670.html?C=S
===引用開始===
TBSは、3日夜に放送した情報バラエティー番組「人間!これでいいのだ」で高周波の「ハイパーソニック音」を取り上げた際、「頭の良くなる音」と断定した表現に行き過ぎがあったほか、論文を紹介した研究者からの許諾の取り方に問題があったとして7日、おわびのコメントを出した。
(中略)
さらに、ハイパーソニック音はオルゴールの音やコオロギの声などに含まれるとし、小学生の女児にオルゴール、別の女性にはコオロギの鳴き声を聞きながら算数などの勉強をしてもらい、1週間後のテストで点数が上がったなどと報告した。
===ここまで===
音で頭が良くなるって?
いつぞやの記事で、『似非科学』に分類した『モーツァルト効果』の親類筋か?
http://tsure-zatsu.seesaa.net/article/24579623.html
「音」と「頭が良くなる」とを組み合わせれば、俺の中では『似非科学』決定だ。
そもそも、「α波が出て集中力や記憶力が高まる」と言うのは、根拠のない話だ。目を閉じるだけでも脳波は変わるので、脳波を元に集中力や記憶力の向上を訴えることはできない。
集中力の計測方法があるのかどうかは知らないけれど、記憶力なら計測できそうな気がする。具体的な方法は思いつかないけど。「頭が良くなる=IQの上昇」を謳うのなら、IQテストがある訳だし。
まぁ、IQテストなんかすれば、「ハイパーソニックを聞けば頭が良くなる」説の有意性を否定するデータが出てくるのは、火を見るより明らかだ。
それを「有意性が確認できた」として報道すれば、それこそ「捏造」だからな。まかり間違えても、「まともなテストをしてはいけない」状態ではあったのだろう。
……と、勝手に想像してみる。
と言うか、小学生レベルであれば、勉強すればそれなりに成績が向上するのは当たり前な訳で……算数の勉強をして国語の成績が上がるならともかく……。それを、聞かせた音の効果だとするのは、余りにもお粗末なこじつけでないか?
TBSの人間は、小学生レベルの勉強すら、ハイパーソニックを聞かないと成績を上げられない(自主規制)な集まりですよ、と。そういう訳か。
……なるほど。番組の質の低さを鮮烈に説明してくれている。
http://www.tbs.co.jp/korede-e-noda/
===全文掲載===
2007年2月10日
「頭の良くなる音」についてのお詫び
2月3日、この番組で扱った、2000年に発表された「ハイパーソニック・エフェクト研究」について、不適切な扱いがありました。
企画立案の当初、研究チームの方々に対し、本企画に関するご協力と研究内容のご紹介をさせていただくようお願いしましたが、丁寧なアドバイスとともにお断りを頂きました。
こうした経緯があるにもかかわらず、今回の放送でこの研究を取り上げ、研究チームに無断で制作を進める過程で、不適切な扱いが生じ、研究に対する著しい誤解を導きました。特に、画期的な事実の発見とともに実験の厳密性を大きな特徴とし、現在国際学会で最高度の注目を集めている貴重な研究への評価、信頼性、応用可能性、及び研究者の皆様の名誉を著しく傷つけてしまいました。研究者ならびに視聴者の皆様に深くお詫び申し上げます。
今後は、この研究の真価を正しく伝えて社会に広がった誤った認識を改め、その評価、信頼性、名誉を回復する情報発信に最善を尽くします。
また、この番組の制作にあたり、データの捏造などはなかったと考えておりますが、番組内で「頭の良くなる音」と断定的にお伝えするなど、行き過ぎた表現から視聴者の皆様の誤解を招くこととなりました。
視聴者、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。
===ここまで===
……何と言うか。
『ぴーかんバディ』の時代から、この番組は「健康バラエティー」ではなく、「オカルト健康バラエティー」だ。何を今更、まともな番組のふりをしているのかねぇ?
……放送内容をバックナンバーで紹介しない時点で、胡散臭さ100%の番組だと思うのは俺だけ?
俺程度の知識と調査能力でも、『ぴーかん』のほとんど全話がいい加減な代物であったのは、以前の記事で色々と書いてきたから知っている。
まともな科学的根拠がほとんど存在していない番組に、まともに引用できる論文が存在しないのは言うまでもなく、つじつまを無理矢理にでも合わそうとすれば、それらしい説明を「作り出す」しかない。
この手の「オカルト健康バラエティー」が、インタビュー先に「真面目な研究者を選んで」は「いけない」だろ。望む回答をもらえないのは明白なのだから。
番組の「身の程をわきまえ」て、どこかの怪しい団体の代表とか、実体の確認できない海外の大学の医学博士号を持つ人物を相手にすれば良かったのに。いくらでも番組に都合の良い実験データやコメントを提供してくれただろうさ。
……これはこれで問題か。
……今回の『人間!これでいいのだ』の失敗は、「科学的な根拠を備えた健康番組を製作しているのだ」とスタッフが錯覚したことかもしれない。
しかしこれには呆れた。
朝日新聞『TBS情報番組が論文無断使用で謝罪』2007年02月08日
http://www.asahi.com/culture/nikkan/NIK200702080019.html
===引用開始===
同局では昨年5月の「白インゲン豆ダイエット放送による嘔吐(おうと)・下痢騒動」以来、制作考査室を設置。放送前の番組チェック体制を敷いている。
===ここまで===
放送前のチェックをしてでさえ、あの中身だったのか。
チェックが機能していないか、チェックする人間の科学知識が小学生並、もしくは始めから「似非科学なオカルト健康番組である」と自覚していたのか、どれかだな。
機能しない監視体制なら早急に対応するべきだろうし、こういう番組を製作・放送している手前、無知が許されるものではないし、確信犯なら悪質以外の何ものでもない。
……科学的な根拠を基にした『健康番組』を作っているつもりなら、と仮定しての話だけどな。
やっぱりこの手の番組には、「この番組は最新の研究・報告を元に製作していますが、番組内で行った実験・結果及び内容の正確さについて、一切保証するものではありません」のテロップがほしいな。