2007年03月25日

健康産業界の偽科学への主張?

 2007年3月14日『健康産業新聞』の第3面から。記事は紙面で掲載されたので、ネットで確認はできない。
   健康産業新聞HP:http://www.kenko-media.com/health_idst/

===全文掲載(括弧付き青数字は、引用元として当方で付けた)===
主張・科学と未科学の狭間で
 科学と未科学、正確には科学と非科学と書くべきなのかもしれないが、昨今の事件(あるある問題など)を契機に、科学と偽科学というフレーズで健康食品やマイナスイオン、波動問題が取り上げられていることは実に遺憾である。未科学を偽科学と批判するグループの、事を性急に断じてしまう考え方こそが、非科学的といわざるをえない。

 先月28日に、健康食品をめぐる2つの発表が紙面を賑わした。一つはJAMAレポートに公表された「ビタミンサプリメントをとると寿命が縮む」(詳細一面ほか)であり、もう1つは「(食品中から高濃度の)ビタミンCの摂取は白内障の発生を4割抑える」というものである。(1)(2) こうした対立する報道が消費者を混乱させることは間違いないが、現代の消費者はこうした情報を基に自分の生活設計を試みなければならない宿命にあるようだ。だからこそ、「あるあるに多くの視聴者が集まった」とするのが、神里達博さん(朝日新聞「不安な社会の健康番組」)の意見である。(3)(4)(5)

 実はこのJAMAレポート、23万人の調査という前触れだったのに、メタ解析という手法で、様々なデータを集めて分析したものだと言う事が分かってきた。(6)JAMAあるある版といっては失礼だが、本紙でも専門家の取材で、なるほどという部分が少しずつ分かるようになってきた。

 要は科学とどのように付き合い、科学されていないもの(未科学とでも呼ぶのか)をどのように評価するのかということになる。してみれば、このところの過激なフードファディズム批判や科学と偽科学のキャンペーンも、アガリクス本の反対バージョンかと笑えてくる。

 健康食品がいよいよ時代のニーズの中核に座ろうとするとき、さまざまな抵抗勢力の洗礼を受けなければならないが、それだけの守りが必要であることをいうことを言っているのかもしれないと肝に銘じたい。
===ここまで===

 主題と内容が噛み合っていない記事なので、何を言いたいのか今一つ……どころか3つ4つ定かでないのだが……
 とりあえず「現時点で科学と認知されていないものに対して、科学的権威は『偽科学』と糾弾し、捏造してでも潰そうとする動きがある。健康産業界は、そのような攻撃からの守りを固めなくてはならない」というものかな?

 実は『健康産業新聞』はこの日の版にて、JAMAで取り上げられた報告には、試験デザインの妥当性に問題があると、1面と10面を使って論文の正当性を否定している。
 ……健康産業にマイナスイメージをもたらす報告だけに、否定しなくてはならない立場なのだろう、とは想像できる。
 しかしこの事実を知らなければ、JAMAが報告の捏造をしたと、受け止められかねない書き方だ。
   The Journal of the American Medical Association (JAMA) HP:
     http://jama.ama-assn.org/

 JAMAが捏造したとの印象操作がなくとも、3面のこの記事はあまりにも問題のある主張と感じたので、チェックを入れておく。

 さて、まず第1に。
 偽科学を批判するグループをどうこう言うのであれば、マイナスイオンでも波動でも良い、追試可能な形での報告を出すのが先だ。
 公開された論文を元に、別のグループが追試をし、叩き、精査し、修正して、元の研究の評価がされるものだ。(7)

 ところが偽科学(俺は似非科学という言葉を使う)の側から、追試可能な論文が提出されることはまずない。
 ちなみにマイナスイオンについては、1997年かその辺りから話が出ていると記憶している(ソースなし)が、10年が経過した現在ですら、少なくとも俺の知る範囲では、科学的根拠のある論文は提出されていない。
 また、公共組織が調査した時にも、業者から提出された資料からは「客観的事実に基づいたものとは認められない」としている。(8)(9)

 今回のJAMAの報告と朝日新聞の報道に対しても、「妥当性に疑問がある」と表明するのであれば、「ビタミンが寿命の延長における有意性を確認できた」という文献を出すのが筋でないかい?

 科学的な検証手順を踏まずに、荒唐無稽な論説を垂れ流すから批判されるのであって、決して「事を性急に断じて」批判している訳ではない。

 第2に、JAMAのレポートについて。
 JAMAのHPでは概要しか読めないが、それでも「メタ分析を行った」との記載は読み取ることができる。
 「23万人を調査したという前触れが、後になってメタ分析だったと分かってきた」などと言っているようでは、この記事を書いた人物が、実は何も調べていなかったのか、悪意を持ってこのように表現を選んだのだと勘繰ってしまう。

 第3。
 「アガリクスの反対バージョン」だと笑っているが、これは『史輝出版』の事を言っているのか?
 だとすれば、これも勉強不足……うがった見方をすれば、これは悪意の印象操作の何物でもない。

 史輝出版の事件、これは医薬品でもないアガリクス(和名ヒメマツタケ)で「ガンが治る」「ガンが消える」などと謳ったタイアップ本を販売し、薬事法違反で関係者が逮捕された事件だ。しかも後日には、体験談の半数がライターによる作り話だったと判明している。(10)(11)
 この事件に関して、先月の2月26日には史輝出版社社長、瀬川博美被告の初公判があった。瀬川社長は「自分もがんになり、罪の大きさを実感している」と起訴事実を認め、執行猶予付きの判決を求めている。(12)
 そして先日3月12日に有罪判決が出、求刑通りの罰金と執行猶予5年の懲役を言い渡された。(13)

 対するJAMAでの報告は、既に提出されていた論文を無作為に抽出したもので、捏造でなければ過剰表現でもない。
 ……史輝出版社での作り話の体験談と無理矢理同列に並べ、「JAMAあるある版」と称し、笑い話にしてしまおうとは、JAMAの報告の信憑性を貶めるための姑息な作為と感じるのは、俺だけか?

 最後に。
 健康食品が時代のニーズにあるかどうかは知らない。
 知らないけれど、「抵抗勢力に対する守りが必要」だと感じるなら、科学的に検証可能な論文を並べて反論すれば良い話でないか?
 そして可能であるなら、明らかに『似非科学』と分類できる代物(マイナスイオン、波動、ゲルマニウム、水クラスター、etc)は、業界から排除するよう働きかければ、「健康産業=怪しい、胡散臭い」と思われる事も少なくなると思うのだけどね。

 全体を眺めてみると、何度読んでも何を主張しているのか、まるで判らないのだが……俺の読解力の問題なのか?
 少なくとも、「科学的な裏づけを欠くものは、健康産業界に不必要だ。業界の健全化のために、排除ないしは、科学的根拠を求めるようにしたい」と言うものではない、のは確かだが。

 一応『健康産業』という、自分の所属する業界を守るための報道のつもりなのだろうが ……この新聞社のこの主張こそが、健康産業界における一番のガンだったりして。


◎参考インターネット◎
(1) 朝日新聞『抗酸化物質入りサプリの一部、死亡率上昇 23万人調査』2007年3月1日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200702280387.html
(2) 朝日新聞『白内障予防にビタミンC 食事から多摂取で発症4割減』2007年2月28日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200702280218.html
(3) 自然に逆らわず生きたい『関西テレビ「あるある」問題の根の深さ』2007年2月1日
     http://lifestyle-habit.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_6577.html
(4) 自然に逆らわず生きたい『関西テレビ「あるある」問題の根の深さ『その2』』2007年2月2日
     http://lifestyle-habit.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_5ed5.html
(5) 自然に逆らわず生きたい『関西テレビ「あるある」問題の根の深さ『その3』』2007年2月2日
     http://lifestyle-habit.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_96c2.html
(6) Goran Bjelakovic, Dimitrinka Nikolova, Lise Lotte Gluud, et al. “Mortality in Randomized Trials of Antioxidant Supplements for Primary and Secondary Prevention” JAMA.2007;297:842-857.
     http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/297/8/842
(7) Wikipwdia『反証可能性』
     http://bit.ly/1jAGvEd
E8.AA.AC
(8) 東京都『科学的根拠をうたったネット広告にご注意! "「マイナスイオン商品」表示を科学的視点から検証しました"』2006年11月27日
     http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/11/20gbr500.htm
(9) 国民生活センター『マイナスイオンを謳った商品の実態−消費者及び事業者へのアンケート、学識経験者の意見を踏まえて−』2003年9月6日
   http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20030905_2.html
   http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20030905_2.pdf
(10) がん治療悪徳事件簿『史輝出版』
   http://cancer.squares.net/?page=%BB%CB%B5%B1%BD%D0%C8%C7
(11) 代替医療関連情報Naotta!『メシマコブでも違法広告史輝出版役員ら7人逮捕』
     http://bit.ly/1jAGGPM
(12) 産経新聞『社長「がんになり罪認識」 アガリクス違法広告事件』2007年2月26日
     http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070226/jkn070226006.htm
(13) 健康産業速報『バイブル本事件、史輝出版・瀬川社長に執行猶予付き有罪判決』2007年3月13日
   http://www.kenko-media.com/hi_newsflash/002609.html
posted by にわか旅人 at 14:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 似非科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ただ、「この健康法をおこなった群がおこなわぬ対照群よりも〇〇%、〇〇であった」
というだけでその『健康効果』が証明されるのに、
斯様な実験はおこなわぬ。
その点のみを以ても、かの『健康効果』を業者が否定している事を
証明している事に消費者も気付くべきですし、
マスコミ、行政も指摘するべきだと感じますね。
Posted by さすらいねこ at 2007年04月07日 16:31
さすらいねこさん
コメントありがとうございます。

>「この健康法をおこなった群がおこなわぬ対照群よりも〇〇%、〇〇であった」
>というだけでその『健康効果』が証明されるのに、

 おっしゃる通り、自説を証明する実験をすればいいのに、いつまで経っても自ら証明は行わず、否定されると露骨な印象操作(今回は虚偽)で相手を貶めようとする。
 自分からは具体的な実験や証明は行わず、自説に反する証明をされると「それは試験法方が間違っている」「その試験方法では信憑性に欠ける」と否定するのが、『似非科学』を肯定する側のやり方です。

 これではいつまで経っても、『健康産業』という業界から「怪しい」という文言が取れることはないと思います。

>マスコミ、行政も指摘するべきだと感じますね。

 マイナスイオンに関しては、既に都庁や国民生活センターから報告されていますから、『波動』や『活性水素』のような代物にも、同様の調査・報告はしてもらえれば良いな、とは思います。
Posted by にわか旅人 at 2007年04月09日 22:19
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