2006年12月23日

『FNN 特命取材班』で学位商法報道

 2006年12月17日、フジテレビの『FNN 特命取材班 報道A』にて、『学位汚染』に関する報道があった。
     http://www.fujitv.co.jp/b_hp/1217tokumei/index.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
●ニセ博士による被害者例
 最初に出てきたのは、『次世紀ファーム研究所』で治療を受け死亡した重度の糖尿病だった12歳の女の子の話。研究所元代表の薬学博士号は、パシフィック・ウエスタン大学(Pacific Western University、以下PWU)で購入したものだった。
 夫の末期ガンのために、博士の勧めるままにサプリメントを与え続けていたものの、夫は死亡。その健康科学博士号は、ホノルル大学(Honolulu University)で購入していた。
 『法の華三法行』の福永法源被告の博士号は、PWUの哲学博士号とホノルル大学地球環境哲学博士号のものだった。
 静岡県立大学小島茂教授によると、日本で今最も相談の多い学位商法の大学は、クレイトン大学(Clayton University)だとの事。

●PWC
 PWUとホノルル大学はハワイ州に拠点があったが、現在ハワイ州と係争中である。
 『次世紀ファーム研究所』の元代表の論文を選考した人物によると、PWCの博士号は論文1本で取得できるのだそうだ。元代表は、在学半年〜1年、100万円程で取得したのではないではないか、との言。
 現在、PWUはハワイ州から撤退している。取材班は当時のPWUキャンパスの住所へと向かった。
 そこは2階建ての貸事務所の並ぶ場所で、キャンパスとはどう見ても縁遠い場所だ。PWUがあったのは貸事務所の1室のみ、近所の事務所の人の話によると、PWUには女性が一人きり、時々アメリカ本土から人が来る程度で、学生の姿はなかったようだ。

●クレイトン大学の学位
 この大学の学位を持つ人物とのインタビューがあった。
 アメリカの大学であるにも関わらず、日本語の論文1本で学位が取得できたそうだ。論文1本しか書いていないのに、なぜか成績証明書には、16科目の授業を受けたとあり、そのほとんどはAまたはB評価、Cはただ一つだけだった。
 学位取得に要した費用は200万円。

●ルイジアナ州にクレイトン大学は存在しない
 クレイトン大学は、英語に直すと『Creighton University』『Clayton State University』『Clayton University』の3つが上げられる。
 先の2校が認定を受けている大学なのに対し、Clayton Universityは本拠のあるルイジアナ州の認可を受けていない大学だ。
 ではどうして、Clayton University(以下、クレイトン大学)は、ルイジアナ州の認可を受けているような表記をしているのか?
 それは、Clayton Universityの学位証明書にあった。
 学位証明書には、『会社の決まりによって認められた学位(TVでは証明書の”Articles of Incorporation”に赤で下線を引いていた)』とあり、クレイトン大学は正規の大学としてではなく、企業として登録されていた。
 そこで取材班は、クレイトン大学の会社登記のある住所に向かう。
 しかしそこにはクレイトン大学は存在せず、登録を行ったという企業(CT Corporation Systems)があるだけだった。この企業は、会社登録の代行業者だ。
 さらに調査を勧め、Clayton Universityのもう一つの住所を突き止めた取材班は、そこへ向かう。
 ……映像からすると、その住所にあったのは、どこかのひなびたShopping Mallの雑貨屋。
 その奥に、クレイトン大学があった。
 ……私書箱の郵便受け一つだけ。これがクレイトン大学だ。

●クレイトン大学の設立者
 クレイトン大学の設立には、ノーベル化学賞・平和賞を受賞したライナス・ポーリング博士とカール・ロジャース博士が参画しているとある。両人とも故人であるが、彼らの親族に問い合わせたところ、クレイトン大学とのつながりは否定されている。

●学位証明書のからくり
 クレイトン大学で学位を購入すると、3通つづりの学位証明書が送付される。金飾りの付いた国務長官のサイン入り証明書と、ルイジアナ州の認定証、そしてクレイトン大学の銘入りの学位証明書だ。

 学位証明書には、からくりがある。
 まず1枚目、国務省の確認書。このサインは、国務長官本人の直筆ではなく、その下の代理人のものだった。書類の証明している内容とは、2枚目のルイジアナ州認定の証明書のサインの主が、公証人として認可されている、という証明だ。またそのサインも、証明書の内容を「何ら保証するものではない」。
 2枚目、ワシントンD.C.の公文書。これは、3枚目の学位証明書の裏にあるサインの主か本物であると、公証人が保証しているに過ぎない。
 3枚目、学位証のコピー。これは先にも述べたように、企業の規則により与えられた学位である、との証明だ。

 ちょっとわかりにくい説明になってしまったので、ちょい補足。
 学位証明書が『企業の規則により認められた学位である』と、クレイトン大学の社長だか理事だかの人が署名した。
 証明書に書かれているサインが、その社長だか理事だかの人のもので間違いない、と証明したサインを学位証明書に併記しているのが、ワシントンD.C.の公証人だ。
 公証人が本物であるとの証明が、2枚目の公文書だ。そしてその公文書には、公証人が本物であると証明した人のサインがある。
 公証人が本物であると証明した人のサインが本物であると証明(ややこしい!)している書類が、国務省の確認書だ。

 図式にするとこんな感じか。
   学位証明書を発行(クレイトン大学)
       ↑
   学位証明書のサインが本物である旨の証明(ワシントンD.C.の公文書)
       ↑
   公証人のサインが本物である旨の証明(国務省の確認書)
 ……つまりサインが本物であるとの証明を続けてきただけで、ワシントンD.C.や国務省がクレイトン大学の某を認めた、というものではなかった訳だ。

●クレイトン大学副理事長とのインタビュー
 これらの情報を元に、取材班はクレイトン大学の副理事長と電話連絡を取った。
 それによると、アメリカ人でクレイトン大学の学位を購入した学生は、1989年以来一人もいない。
 また、ルイジアナ州の認可を受ける方向での検討すらしておらず、非認可の大学かつ企業である旨は、きちんと公開しているとの言。
 学位証明書の内容についての追求には、「大学名をいずれ変更しようかと考えている」との回答(はぐらかし)。「クレイトン大学の『大学』の部分を取るのか?」という問いには、『大学』の部分を除こうかな」との曖昧さだった。

●インターネットの広告は削除されていた
 クレイトン大学の取材を始めた8月頃、クレイトン大学日本校HPには、日本校元理事長とブッシュ前大統領が握手している写真が掲載されていた。
 しかし取材が進むにつれ、日本校のHPからその写真は削除され、内容も簡略化されるようになっていた。

 補足。
 2006年12月17日時点では、クレイトン大学日本校のサイトは見えなくなっていたが、2006年12月22日には、クレイトン大学『日本事務局』と名を変えて復活している。
     http://www.claytongu.jp/p4.htm

 その内容は、日本事務局は、アメリカのクレイトン大学に騙されていたようだ、との主張に終始している。その証拠にと、メールでのやり取りの内容が公開されている。
 ……余りに笑える内容なので、画像で保管してしまった。どこかに貼るかどうかはともかく、資料として重宝しそうだ。

 『学歴ネット』小島教授のサイトで、2004年のやりとりが公開されているが、「騙されていた」という意見の仕方と対応ではない。
     http://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kojima/yoshida1-1.htm
 また『健康本の世界』にも、2006年10月11日に「クレイトン大学はディプロマミルから外されたから、ディプロマミルの部分は削除しろ」などという要請を出している。
     http://khon.at.infoseek.co.jp/mail/clayton2.html
 ……学位商法だと知っていたではないか。どこが「騙されていた」だって?

●大学で講義をしているニセ教授
 日本の大学の教授には、「○×博士」との肩書きを持つ教授が多いが、中には、今回上げた学位商法で購入した教授も数多く存在する。
 学位商法3校のいずれかの学位しか持たず、日本の大学で教鞭を振るっている教授はいないか調査したところ、国公立大学で教鞭を取る16人の人物が見つかった。
 教鞭を取る大学名、及び個人名は番組では明かされなかったが、学位の購入先は明かされた。
 クレイトン大学3人、PWU12人、ホノルル大学1人だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ……とまあ、ざっとこのようなところか。
 報道された内容を全て書き連ねた訳ではなく、一部省略している箇所もあるので、あらかじめ断っておく。
posted by にわか旅人 at 23:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 悪徳商法追放 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

まあ、あまりにもイケていなかったNHKのクローズアップ現代
(その後、クローズアップ現代は別の回で、Made in Degree Mill
の肩書きをもつ人物をコメンテーターとして採用するという失態を
おかしています)とくらべて、今回はそれなりに大きく扱われた
かな、と思っています。

ただ、やはり他マスコミが関わって(しまって?)いる Degree Mill
についてはうまいこと避けているなぁ、という印象はもちました。

ある意味「クレイトン大学」はどこともしがらみがなく「直球勝負」
の Degree Mill なので、ヤリ玉に挙げやすかったんだと思います。
(それと、もう一つここでは直接書きづらい理由があります。ただ
一つ言えるのは、少なくとも手元の資料によると日本の大学に
教職員を「輩出」している Degree Mill の「最大手」は決して
クレイトン大学ではないということです。)

結局、そういった「直球系」の Degree Mill と、その関係者を
見せしめ的に処理して一件落着となってしまわないことを祈って
います。
Posted by CAT0857 at 2006年12月26日 06:05
>CAT9857さん
コメントありがとうございます。

今回クレイトン大学が取り上げられたのは、ここがDegree Millで説明しやすい業者であったからだと私も思います。

・日本語にすると、Accreditationを持つCreighton Universityと同じ「クレイトン大学」となる作意の見せやすさ。
・論文1本(しかもアメリカの大学なのに日本語)で、16課目の成績書付き学位証明書が買える手軽さ。
・株式会社として登録し、実体は私書箱の郵便受け1つだけの安易さ。
・国務省の確認書や州の公文書が、どう学位証明の権威付けに利用されているか説明のしやすさ。

大学の教授の中にDegree Millの博士が入り込んでいるとの警告も大事ですが、「いかにも権威のありそうな」団体や協会に、この手のニセ博士がはびこっている事も、もう少し取り上げてもらいたかったです。
……まぁ、取り上げ(られ)なかった背景もあるのでしょうね。
Posted by にわか旅人 at 2006年12月27日 04:21
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