2006年11月11日

耳介(耳ツボ)療法(2)

 先日『耳介療法』について書いたけど、この似非科学の情報を教えてくれた人物によると、「ポール・ノジェの理論は粉砕されたようには見えない」という見解らしい。この『粉砕』とやらが、俺の以前の記事に対するものなのか、どこかの学会で検証されていないと言いたいのかは不明ではあるが……
 ……あの主張を『理論』と称してはばからないとは……!?
 それはともかく。
 ……科学だと主張したいなら、まず先に検証できるデータを出せよ……。

 ちょっと愚痴っぽくなったので、気を取り直して。
 先日の『耳介療法』から、さらに調査を続けたので報告。

 以前にも紹介したが、アメリカのFood and Drug Administration (FDA)には、医療機器の登録を受け付けるCDRH (Center for Devices and Radiological Health)という部署がある。そこのデータベースから、このような物が出てきた。
     http://www.fda.gov/cdrh/pdf5/K050123.pdf

 P-Stimという器具なのだが、種類は『Electro-Acupuncture Device』、つまり電流を「ツボ」に流す装置のようだ。用途は、ツボに電流を流して耳のツボを活性化させるものらしい。
 ……よく判らない説明だ。
 ただし、『Auriculotherapy』とか『Ear Acupuncture』と呼んではいない。そんなものだから、先の記事を書いた時点では気がつかなかった。

 さて、この器具の製造はNeuroScience Therapy Corp.という企業だが、この名前で検索すると、現在はTalkingStock.com LLC (http://www.talkingstocks.com/index.php)の傘下にあるのが判る。元々ここの子会社として設立されたのか、それとも買収されたのかまでは調べていない。

 とは言え、P-Stimの取り扱いがなくなった訳ではない。
 P-Stimの説明ページはここだ。
     http://www.talkingstocks.com/p/npyc/summary.php

 このページにある説明図を見ると、確かに耳の3箇所に鍼を刺し、電流を流す仕組であるのが確認できる。

 ここまで見ると、先日の『耳介療法』の説明と一致してくるのだよな。
 ・アメリカで医療機器として登録されている。
 ・耳介のツボに電流を通す。
 まぁ、この2点だけなのだが。
 勿論、慢性痛以外の効用や、ノジェが主張した『似非科学』の説明は見当たらない。裏設定では『ノジェの主張』はあるのかもしれないが、そこまで調べる労力は……さすがに持ち合わせていない。
 それにこれは、医師限定で直販される商品だ。
 ……やはり巷の似非系『耳介療法』とは別の代物だな。効果の程は知らないけど。

 ではこの機器に、謳っているような効果はあるのか?
 その効果はまだ実証されていないようだ。

===引用開始===
Neuroscience Therapy Corporation’s products are currently before the FDA for approval. To conduct clinical trials to develop and promote a marketable product identity, expand third-party reimbursement for the product and certify pain management specialists in the proper use of the device.
===ここまで===

 文章になっていないので、正直何を言いたいのか不明だ。
 このような文章を平然とHPに出しているところからして怪しいのだけど、かいつまんでみると、FDAの認可はまだ得ていないようだ。臨床試験を「これから行う」のか、臨床試験用に開発(何を?)すると言っているのだろうか?
 疼痛関係の専門医に販売していくための臨床試験を重ねている途中、と読めなくもないが……読み間違えだな、うん。
 更新していないだけの可能性もあるか……。
 ……読めば読むほど意味不明な文章だ。

 疑問は残るが、申請と許可のところで頭を悩ませる必要はなかった。
 と言うのも、先のFDAの申請書類の上の方に、『Classification: Unclassified』とあるからだ。つまりClass分類の対象外だ。
 これはどういうものかと言うと、FDAの医療機器には、その医療効果の程度に合わせてClass IからClass IIIの3グループに分けられる。Class Iは医療的な効果が最小で、Class IIIでは効果が大きいものになる。この部分は前回の記事でも触れた。

 となれば、だ。
 このP-Stimと言うClassすら付かない医療機器の効果というのは、手術用グローブにも至らない安全な、言い換えれば効果のない代物だ、という事だろう。仮に効果の大きい代物だとすれば、とうにClassが付いているはずだからな。

 まとめると、だ。
 『耳のツボに鍼を当て、電流を流す医療機器』は、アメリカのFDAに登録されたものが存在する。対象となる病状(症状かな?)は、慢性通などの疼痛一般である。
 ただしClassがUnclassifiedとされているように、医療効果は期待薄と思われる。
 俗に言う『耳介療法(Auriculotherapy)』の装置は、耳たぶを電極の付いたクリップで挟み、電流を流す仕組みである。対して医療機器としての装置は、鍼を耳介の複数個所に刺し、電流を流すものである。
 一番大きな違いは、基本のところか。
 Auriculotherapyでは、フランスの医師ポール・ノジェの主張する「人の耳介は、頭を下向きにした胎児の姿をしているから、耳介は人体を模倣する小宇宙である。耳介のそれぞれの器官に該当する位置に針などで刺激を与えることで、さまざまな治療が行える」というものを土台としている。
 しかし医療機器は、中国の鍼灸からのものだ。こちらの理論というか歴史と言うかは膨大なので、説明するのは俺の手には余る。

 『耳介療法』という単語だけだと、どちらを言っているのかわからなくなってきたな……。
 ……まぁ、どっちもどっちなのに変わりはないか。
posted by にわか旅人 at 14:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 似非科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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