2006年10月28日

「海外では医療機器」だから、なに?

 あちこちの『悪徳商法』『似非科学批判』のサイトを巡っていると、「アメリカでは医療機器として認められ、医療現場で使われている」という主張する人を見かける。ここでの『アメリカ』は、フランスでもドイツでも、他の国でも構わない。

 このような「海外では医療機器として認められている」という話は、個人的に『似非療法』の支持者に多いと感じている現象だ。海外では医療機器だから、効果が確認されている医療である、という主旨なのだろう。
 ところで、「登録がある」と「効果がある」がイコールで結ばれないのは、改めて指摘するまでもない。
 ……はずだよな?
 困ったことにこの手の人たちには、普通に考えれば到るはずのこの理屈が通用しない。

 『海外で医療機器としての登録がある』=『その医療機器の効果を証明している』の公式が成り立たないのは、少し考えれば判りそうなものだ。しかしこの手の人たちにはそうでもないらしく「登録があるから効果は認められている」として譲らない。
 それでいながら、「その医療機器の現地での名称は? どのような病状に使われている?」と質問されると、まったく答えられないか「自分にとり機器の名前は重要ではない」と、意味不明な言葉を返してきたりする。
 話にならない、というやつだ。
 実際に効果が確認されている医療機器なら、とうに日本のあちこちの病院やら研究施設やらで研究して、日本でも医療機器として登録しているものではないのか?
 ……日本のお役所仕事がそんなに怠慢だと思っているのかねぇ。医療機器なら輸入の際に関税のかかる利権絡みの仕事になるから……お役所は早いぞ、多分。
 そもそも臨床試験の論文もない医療器具の性能を、どう評価しろと言うのやら。

 これだけでは空論で終わってしまうので、登録の有無とその機器の効果の関係を、少し調べてみた。
 参考にしたのは、アメリカのFDA(Food and Drug Administration)だ。
 医療機器の申請受理と登録は、その中のCDRH (Center for Devices and Radiological Health)で行われる。

 医療機器はClass I〜IIIの3段階に分類されるのだが、その分類は用途と目的、そして患者と使用者(医師や看護師を含むのだろう)への身体的リスクで評価されるようだ。Class Iは最小の患者・使用者へのリスクが少なく、Class IIIだとリスクは大きい。(1)
 このClassの分類は、提出された書類からCDRHが決定するのではなく、既にあるガイドラインに沿って、申請者側がClassを選んで書類を作成・提出するものだ。Classによって提出する書類が一部異なり、特にClass III辺りだと第三者の評価(推薦状?)も必要になるようだ。
 ……臨床試験の報告も必要かと思ったのだが、どうもそれは不要なようだ。調べ方が悪いのかな?
 各Classで提出する書類は、さすがに調べるには手間がかかりすぎるので諦めた。
 しかし医療機器の登録があるからと、全ての医療機器が同列に安全、かつ効果を国で認めたもの「ではない」ようだ。
 安全性は製造者側が持ち、効果については取り扱う側が調べるなり製造者に提出を求めるなりしろ、と言うことかな? 日本のPL法と似たような仕組みか。
 ……量が多いので調べ切れない。
 まぁともかく、アメリカの場合、医療機器のランクは3段階あり、登録の有無が効果を保証したものではない、という確認が取れたので良としよう。

 では、ごくごく普通に思いつく医療機器は、どのClassに落ち着くのだろう?
 追加でちょっと調べてみた。
     手術用グローブ:Class I (2)
     マスク:Class I (手術時に使用する物はClass II)(3)
     手術用のキャップ:Class I (4)
     メス:Class I (5)
     注射器:Class I (採血用はClass II)(6)(7)
 医療目的で使用されるものだけに、当然ながら医療機器(器具?)として登録されていた。
 目的通りの使用であれば、患者や使用者に危害が及ぶようなものではないから、妥当なClassではないのかな。この辺りの評価基準は調べていないので、確実な事は言えない。
 ともかく。
 これらの代物は、アメリカで医療機器として登録があり、医療の現場で使われている。
 でも、どの程度の医療的な効果を期待できるかは、言わずもがなだろう。
 変な細菌・ウイルスが飛び散らない・移動しない・感染しない、そして、させない。確認のしようのない効果だ。
 医療器具の工場を設計・建築し、安全性を調査し、申請書類を作成し、それらにかかる費用を捻出する……という時間と労力と費用については、ここでは触れずにおく。

 「この手術用グローブはアメリカで医療機器として認められ、医療現場で使われている。だから効果のあるものだ」
 「この注射器はアメリカで医療機器として認められ、医療現場で使われている。だから効果のあるものだ」
 「このマスクはアメリカで医療機器として認められ、医療現場で使われている。だから効果のあるものだ」
 ……etc.、etc….
 ……確かに凄いな。こういう理屈で物事を語れる思考を持てるって……。


◎参考インターネット
1) Classify Your Medical Device: http://www.fda.gov/cdrh/devadvice/313.html
2) http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfpcd/classification.cfm
3) http://1.usa.gov/1jDb8Jg
4) http://1.usa.gov/1jDbf7A
5) http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfpcd/classification.cfm
6) http://1.usa.gov/1qIU6mS
7) http://www.fda.gov/cdrh/pdf3/k030208.pdf
posted by にわか旅人 at 14:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 似非科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ご挨拶申し上げます。
Posted by メディカルテクニカ at 2006年12月03日 16:42
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