2008年06月14日

Qビットテクノロジー

 『健康産業流通新聞』の2008年4月8日号にて、空水光研究所株式会社の所長、齋藤英彦氏の「Qビットテクノロジー」なるものが紹介された。
 これはどういう代物かというと、
「食材や花や土や機械などさまざまものにQビットエネルギーを照射することで鮮度を保ったり、異臭を除去したり、毒性を取り除いたり、性能や効果を高めたりできます。実際に2〜3日しか持たない魚を冷凍せずに1ヶ月持たせたり、1週間で腐り始めるイチゴを6ヶ月間保存したり、なかなか困難なダイオキシンで土壌汚染された土地を浄化したり、たとえばプラセンタの異臭を機能性を落とさずに脱臭したり、硬い肉をやわらかく甘く熟成させたりとQビットテクノロジーは生命や物質に対して影響を与えます」
 だとか。

 ヒトにとって都合の良い効果だけを持つものなどないので、この説明を読んだ時点で胡散臭いと判断できる。記事を読み進めたところ、なかなかに香ばしかったので紹介する。

●Qビットテクノロジーとは
 QビットのQは、Quantum量子のQから取ったもの。ビットは単位。で、量子レベルのエネルギーという事で、『Qビットエネルギー』と名づけたのだとか。
 そして『Qビットエネルギー』を出す技術が『Qビットテクノロジー』である、と。

 ……量子レベルのエネルギーって……。J(ジュール)cal(カロリー)W(ワット)などの単位で表せないものを、そのまま受け入れる訳にはいかないなぁ

 これだけでは判りにくいので、記事から引用する。
===ここから===
地球のあらゆる物質、あらゆる生命体は原子でできています。原子は原子核、陽子、中性子、電子、中間子などでできています。これらが量子と言われているものです。この量子レベルに自然と共生するエネルギーを与えることができれば、健康被害や環境破壊を抑えることができるのではないかと思ったのです。
===ここまで===

 この説明だけで、少なくとも俺の住む世界の住人ではないのは判明した。
 ……原子に陽子・中性子・電子以外に、「中間子など」という別物が混じっているって、どういう世界よ。しかもこれらが一緒くたで「量子」って……。

 エネルギーはどこまで行ってもエネルギー、「自然と共生する」などという都合の良い選択性など持ち合わせてはいない。
 なものだから、エネルギーを(仮に)与える事ができたとしても、健康や環境に影響は与えられない。
 ……なんだろう、「原子力エネルギー」と「風力エネルギー」は異なる「エネルギー」だと言ってはばからない人達と同じ匂いを感じる。

===引用開始===
生命は地球の磁場の力と太陽のエネルギーの創造物ではないでしょうか。だとすれば地球が出している電磁波と太陽の出している電磁波を融合させたエネルギー発生装置を作ろうと考えたわけです。
===ここまで===

 生命の起源については色々と議論が交わされていて、まだ結論が出ていないと記憶している。「電磁波による生命発生」説は初耳だ。
 ……しかしまぁ、トンデモな新仮説として読む分には面白いけれど、実用化を目指すとはね。

===引用開始===
Qビットエネルギーは生命が欲しがっている微振動なのです。すべてのものは微振動でできているのです。生命があるのも生命を活性化している微振動があるからです。
===ここまで===

 ここで言っている『微振動』とは、オカルトの『波動』の事だ。「ニュートン以来の物理学では、水の記憶や波動のことはわからない」という下りもある。

 ……って言うか、生命の説明が二転三転しているってどういうことだ。

●Qビットテクノロジーのメカニズム
 予想はできるだろう。一言で言って、「未だ解明されていない」。
 ……と言うか、解明できる代物ではないし、解明したいのであれば、別の宇宙に行く方が早い気がする。

 あくまで解明できていないのは理論の部分で、実用できる代物は開発できているという主張だ。
 ……ぃゃぃゃぃゃ。そんな簡単に量子をどうこうできるのなら、何千億円もかけて粒子加速器を建設する必要がないだろ? それこそどこかの研究室に持ち込めば、ロイヤリティ1%でも10億円単位が寝ていても転がってくるって……。

 まぁもっとも、その技術の基礎が、
 「鉱石や色の層を作り微量なエネルギーを発生させています」
 では、中味は推して知るべし。

===引用開始===
これだけではありませんが様々な工夫をして人体や生命、肉や魚や野菜、水や土、機械などを活性化しているのです。
(中略)
化学の世界とは異なる世界が広がっています。化学の技術で作られた物質が地球環境を破壊していることが多いのですが、このQビットテクノロジーは自然と共生する量子レベルのエネルギー技術といえるかもしれません。
===ここまで===

 Qビットテクノロジーは化学ではないと認めたか。しかしどういう訳か、量子物理学でなら説明できると言いたいらしい。
 ……化学や物理学のかなり難しいレベルまで習得していないと、量子物理学には手が出せないと思うのだが……。

 Qビットテクノロジーには色々と工夫はしているようだが、根底にある技術は『カラーセラピー』の本を読んで開発した『カラーエネルギーチップ』らしい。それを産後、寝たきりになった奥さんに使用し、3年後には起き上がれるまで回復したのを見て、
 「自分の技術には何か生命を活性化する力が確実にあると感じた」
 のだそうだ。
 ……「使った」「治った」「効いた」の典型的な『3た論法』。体験談が科学的な根拠とならないのは言わずもがな。

●医療現場でのQビットテクノロジー
 冗談抜きで危なくないか?
 高額な玩具程度なら、ネタと理解して購入する分には何も言わないでおく。だけど効果があるとは到底思えない代物を、生死に関わるかもしれない医療現場に持ち込むのは問題があると思う。
 ……勿論、きちんとデータが採取されていて、それを元に医療現場で使っているなら、それは俺の早計でしかないが。

===引用開始===
量子レベルのエネルギーを出すことで分子、細胞を調整する働きがあります。医療の現場でも使われています。東洋医学に詳しい落合歯科医院の落合先生は治療の現場で活用しています。手術のときも、止血などに有効だといっています。他にも何十人もの医師が利用しています。
===ここまで===

 『落合歯科医院』は検索すると何軒も出てきた。東京、栃木、厚木、秩父などなど。ただし『Qビットテクノロジー』に関係した治療を行っている医院は見つけられなかった。
 ……どこの落合歯科医院かは知らないが、付き合いで「有効だった」とのリップサービスを受けて、それを真に受けた可能性もありそうだ。

●CO2の節減とエコにも有効
 Qビットテクノロジーを利用すると、ほぼ全ての社会問題が解決できるらしい。

===引用開始===
おそらくこの技術でほとんどのことで電気代、つまりCO2削減ができると考えています。ボイラーやエンジンに取り付けることもできます。Qビットエネルギーを照射した断熱塗料藻ロケットにも使われるなど評価は高く、建物に塗るだけでCO2の削減効果があります。
===ここまで===

 更にはコンピュータ関係の放熱問題も改善できるし、機械の性能もアップ。つまり処理速度は上がるし、メモリとハードの容量は増えるというのかな? 車に取り付ければ燃費が向上するし、燃焼した際に出るNOxは少なくなるし、車の騒音すら軽減できる。冷蔵庫に取り付ければ氷点下に温度設定しても凍らないし、多少高い温度に設定しても腐敗せずに熟成するのだとか。
 ……どう手を付ければいいのやら……。ここまで来ると、大言壮語をにやにやして読んでいくしかない。

●量子物理学は宗教です
 こう言っているのは俺ではなく、記事の斎藤英彦氏だ。

===引用開始===
量子物理学の世界は粒子の不可解な動きの解明ですから、古代の医学や、般若心経ともつながっています。量子的レベルで見れば人も物もつながっていて、ある意味宇宙はひとつの生命体だと、量子物理学は科学的に示唆してくれます。
===ここまで===

 俺の読解能力に難があるのかもしれない。
 「量子物理学は難解だから、古代の医学や宗教と同類だ」と言っているように読めてしまう。
 ……まぁこの人の言う『量子物理学』が、俺の住むこの世界の同名の学問とは別物だというのは判っていたけれど、信仰の対象としていたとは……!

 さて。
 ここまでの記事の引用分だけでも、『Qビットテクノロジー』が似非科学……と言うには稚拙すぎる気がするが……なのは火を見るよりも明らかなのだが、この技術を利用した冷蔵庫がある。
     http://www.q-bit.jp/eco.html

 説明は似非科学だけれど、実際は別の方法で説明できる技術で、実際に省エネルギーな商品なら良い。
 だけど現物も余計な玩具を付けただけの、文言通りの節約ができない代物という可能性の方が高そうだ……と、効果のない節電器や燃費向上グッズを見てきた俺の経験則から話。
 ……科学的な説明が出鱈目だから、その技術を使用した商品も出鱈目だ、と言っているのではないので、誤解しないように。

posted by にわか旅人 at 20:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 似非科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Qビット冷蔵システムについて、私は業務委託として、営業を行なっておりますが、
Qビット冷蔵装置は、食材の保存テストで、長期保存と高鮮度維持が実証されているみたいですが、何故でしょうか。貴方様の記事を読んでQビット冷蔵装置に非常に不安を感じました。私は営業はやめたほうが良いでしょうか。私は経済的に苦しんでいる為、現在副業として時間を見つけて、Qビット冷蔵装置の販売活動をやってます。貴方様の御意見を頂ければ誠に幸いに存じます。
Posted by qbit.japan at 2008年12月09日 11:13
qbit.japanさん
コメントありがとうございます。

>食材の保存テストで、長期保存と高鮮度維持が実証されているみたいです
>が、何故でしょうか。

本当に実証データが出ているのであれば、それは『Qビットエネルギー』によるものではなく、技術的に優れている製品だからなのだと思います。しかし技術的に本当に優秀であるのなら、このような似非科学での説明は入れず、技術データを出せば済む話なのではないでしょうか?

>私は営業はやめたほうが良いでしょうか。

qbit.japanさんの生活に関わる話ですので、申し訳ありませんが、この点について私からの回答は控えさせていただきます。

ところで、qbit.japanさんはこの冷蔵庫の販売活動をされているのに、実証データをご覧になられていないのですか? 空水光研究所株式会社では、資料も提出せずに販売員に活動をさせているのですか?
Posted by にわか旅人 at 2008年12月11日 01:16
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